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plumeria

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総二郎に桜子から連絡があったのは23日の夕方遅くだった。
予定していた会食が中止になった総二郎からの誘いで2人で晩飯を食いに浅草に来ていた時、その電話は鳴ったんだ。

「何だって?また牧野はそんなものに捕まったのか!何回同じ目に遭うんだ?いい加減学習しろってんだ!」

『いきなりでしたから確定は出来ませんけど、おそらく間違いないでしょうね!』

牧野が黒塗りの車に拉致されて何処かに連れて行かれたらしい。
もちろんそんな事をするのは1人しかいないから慌てなかったが、問題は本当にアメリカに連れて行くのかどうかだ。

それを牧野がすんなり受けるのか・・・?そうじゃなかったら無理矢理連れて行かれるのか。
それが間違っているとどうして気が付かないんだ、司。牧野はお前の所有物じゃない・・・自分の思い通りにならないと気がすまないその性格は企業人になっても変わんないんだな。

いや、牧野にだからそうなのかもしれない。ああ見えて本気なんだから。


「どうする?あきら・・・司の家、行ってみるか?すんなり帰してくれるかどうかわかんねぇけど」

「いや、牧野を信じるよ。それに今はまだ司はドイツだ。明日の夜までには戻ってくるはずだからきちんと牧野と話し合いをさせたい。じゃないと同じ事が繰り返されるだろ?」

「すげぇな!俺たちの行動は全部筒抜けかよ!さすがあきら・・・でもさ、牧野がいまだにフリーだからヤバいんだろ?早く誰かのものになれば問題ないんじゃねぇの?な、あきら!」

「・・・司の行動なんて全部ネットで調べりゃ詳しく出てるさ!それに俺の事は放っといてくれ!あいつの事はちゃんと考えてるし、今年は特に・・・特別に用意してるさ」


わざわざ掴まえたりはしない・・・だけど、俺の腕に飛び込んでくれたらもう誰にも触れさせはしないさ。
例えそれが幼馴染みでもな。


*********


ゆっくりしてくれって言われてもちっともこのふかふかのベッドじゃ寝られなかった。

24日の朝になって道明寺家でどんよりと朝を迎えた。メイドさん達が揃えてくれた服に着替えて朝食もこの部屋に用意された。
つまり早い話が軟禁状態・・・道明寺が帰ってくるまではこの部屋から出すなと命じられているんだろう。
そういうのもわかるからあいつが帰ってくるまでは大人しく言うことを聞いていた。

そして夕方近くになって道明寺が帰ってきたらしく、お屋敷中が騒がしくなった。やれやれ・・・やって帰ってきたのね?
ちょっと前の私ならここで飛び膝蹴りでもしているところだけど、ここはとにかく冷静に話そうじゃないの。そう思って静かに部屋で待っていた。

足音が聞こえてきた・・・私のところに来るんだ。そう思ったら少しはドキドキする。
ガチャとノックもせずにドアが開いて、1ヶ月ぶりの道明寺が顔を見せた。


「よぉ、待たせたな。明日の準備は出来てるのか?まぁ、出来てなくても身体1つがあれば問題はないが」

「誰も行くって言ってないでしょ?もちろん答えはNOよ!・・・もう一回言うけど私達は別れてるから!もう随分前にね!」

「・・・そっちが日本に帰りたいって言うから帰しただけで別れるとは思わなかったが?だいたい俺からそう簡単に別れられると思ってるのか?そんな恥さらしなマネが出来るか!俺を誰だと思ってるんだ!」

はぁ・・・何も変わってない。
この人は私が何故別れようって言ったのかさえわかってないのね?その自分勝手な、独り善がりなところに我慢が出来なくなったんだよ。大好きだったときは私も束縛されていることを愛されてると勘違いしてたの。でも、そうじゃなかった。
それじゃ息できなくなって一緒になんて暮らせないって気が付いたから別れたのに。

あんたにももっと自由に人を愛する人になって欲しかった。縛るだけじゃ自分の心もそのうち壊れちゃうよ?

「簡単になんて別れてないでしょう?話し合ったはずだよ?私達は一緒にいない方が前に進めるって言ったじゃない!道明寺は何かあったらすぐ仕事仕事ってろくに話しも聞いてくれなくて、私は1人だったでしょ?何処かに行っても全部仕事絡みで私はほったらかしだったわ。それなのに1人で行動したら監視がついて全部報告されるし。そんなの恋人って言えないじゃない!」

「俺の婚約者なんだから当たり前だろう。道明寺夫人になる女が妙な行動してたら笑われるのは俺だからな!」

「私の気持ちはどうなんのよ。悪いけどもうあんたに特別な感情は持ってないわ・・・勝手に私の将来を決めないで!」

道明寺の眉がピクリと動いた。でもここで怯むわけにはいかないのよ。
お互いに仁王立ちして睨み合ってたら、道明寺の方が先に顔を背けた。
そして沢山あるドレスの中から1着を一目で選んで、それを私にポイッと投げた!

「な、何よ!これ・・・今、どこ見て選んだのよ!」
「あぁ?これはアメリカで作らせたお前用のドレスだろうが!何を選んでも全部お前のだ。文句があるのか?今からイブのパーティーが始まるんだ。そいつを着て大広間に来い。いいな!」

道明寺はそのまま私の顔も見ないで出て行ってしまった。


そうじゃないでしょ。それって違うよね?
普通は一生懸命鏡で確かめて、試着して、これがいいとかあれがいいとか・・・意見を聞いて選ぶよね?
私に合ったものを選んでくれないなら要らないんだよ。道明寺、あんたは私の何処を見てるの?
こんな黒いオフショルダードレスなんて1番私に似合わないじゃん!

誰もいなくなった部屋で私はドレスの上に一枚の置き手紙をして、この部屋のバルコニーに出た。もちろん手には昨日買った物を持って!
ここが2階で良かったわ!このぐらいの高さなら平気・・・!

「じゃあね!道明寺・・・さよならっ!」


バルコニーから下の植え込みに向かって飛び降りた!
さすがこの家の芝生や植え込みは質がいいからそこまでの衝撃はなかったわ!ちょっと脚に数ヶ所切り傷が出来たけど!
そのまま暗くなりかけた道明寺邸の庭を警備員に見つからないように走り抜け、裏門の守衛さんにはごく普通に挨拶して何食わぬ顔して出て行った。

でも、数歩歩いたら再びの猛ダッシュよ!
万が一追いかけられたら今度こそ強制連行される!冗談じゃないわ・・・私が思いっきり脚をフル回転させて走っているときに、1台のバイクに跳ねられそうになった!

「きゃあぁーっ!」
「うわぁっ---!!・・・って、牧野じゃねぇかっ!」

へ?って道路脇にへたり込んで座ってる私にヘルメットを取って顔を見せたのは・・・西門さんっ!!

「何してんだよ!危ねぇだろうがっ!・・・あれ?お前、司に捕まったんじゃねぇの?」
「なんでもう知ってるのよ!今その家から脱走してきたの。あいつ、何言っても聞かないから!で、西門さんは何してるの?」

どうやらこの高級住宅街にお茶の生徒さんのご自宅があって、その忘れ物をバイクで届けに来たついでに道明寺が帰ってきてるのかを確認してたんだって。何なの、この人・・・クリスマスイブなのに意外と暇なのね?


「どこまで走る気だったんだよ!・・・仕方ねぇな・・・俺が隠してやろうか?後ろに乗れよ」
「え?ヘルメットないけど?」

「俺はしてるから大丈夫!落ちて死ぬのはお前だから」
「・・・いいわ、絶対に落ちないからっ!」

どうやら追っ手を逃れて逃げ込むのは西門邸らしい。そりゃ安全だわ!って事で私は今度は荷物を持ったまま西門さんのハーレーの後ろに乗っていた。ヘルメットがないから風がモロに顔に当たって痛ーーーい!!


私、こんなので明日の美作さんちのパーティー、行けるのかしらーーーっ!




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2017/12/24 (Sun) 00:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは。

総ちゃん、バイクで体当たりしなくて良かったわ~!
初めは体当たりさせたんだけど、流石にハーレーに飛ばされたら死んじゃうかもしれないからやめました。
体当たりさせたんかいっ!って怒らないでね(笑)

「わりぃ!牧野、今体当たりしたのに無傷ってすげぇな!お前」
「何言ってんのよ!西門さんのバイクくらいで死んでたまるもんですか!」

って書いてたんだけど、「いや、そんな馬鹿な!」って思ってね。無傷はないだろう・・・無傷は。


あきらの話なのに、何故かあきらの出番が少ないこのお話。
彼のシーンが一番難しいんですけど。もう少しあきら君を勉強しないといけないな、と反省しました。

明日はあきらも2本立てなんです!
頑張るぞっ~!!歯が痛いけど・・・。

2017/12/24 (Sun) 11:19 | EDIT | REPLY |   

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