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plumeria

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<side司>
少しの間、牧野を1人にさせてしまった。

もっと違う言葉で伝えたいのに面と向うと思った言葉が出てこない。
あいつと付き合い始めたころは何も言わなくてもこっちの気持ちがわかってるんだと思い込んでいた。だから、説明なんて要らないし、俺のいうことは素直に聞くものだと決めつけるようになったのは事実だ。

それの何処がいけない・・・俺は自分の思う通りに仕事をクリアしてきた。恋愛ってのもそれと同じじゃいけないのか。

俺に選んでもらえるならどんなものでも構わないってヤツは沢山見てきた。
俺がやりたいことならそのほかを捨ててでも賛成してくれる人間も大勢いる。
俺が欲しいものならどんな手段を使っても持ってくるヤツだってこの世の中に溢れてるはずだ。

そんな俺が何で牧野だけには選ばれないんだ?それが理解出来ねぇ・・・自分の部屋で牧野があのドレスを着て俺の所に来るのを黙って待っていた。

その時にノックしてきたのは牧野専用に手配した使用人。何故か真っ青な顔で入ってきやがった。

「あの、申し訳ございません!牧野様がお部屋にいらっしゃらなくて、あの・・・」
「・・・なに?何処に行ったんだ?」

「それが何処に行かれたのかわからないのです。ドレスにもお着替えではございませんし、暫くお待ちしたのですがお戻りになりません。いかが致しましょう」

使用人の言葉で嫌な予感がした。
急いで牧野の部屋に行ったら確かにあいつの姿はない。ドレスはベッドの上に投げ捨てられたままだった。

「くそっ・・・!何処に行きやがったんだ!まさか窓から?」

1つだけ窓の鍵が開けられている!
牧野はここから下に飛び降りたのか!そうまでしてこの屋敷から逃げたかったって事か!
急いでSPを使って牧野の行方を探そうと思ったとき、ドレスの横に一枚の紙があるのに気が付いた。


俺はその紙に書かれた内容を見て・・・牧野は二度と俺の元に帰ってこないんだと思った。


道明寺へ

ごめんなさい。私はやっぱりあなたと一緒にアメリカに行くことは出来ません。
一度は真剣に考えたんだよ?凄く大きな翼を持つあんたと、世界を飛び回りたいって。
でも、あんたは私の羽を奪って籠に入れたまま、自由に飛ぶことを許してくれなかった。
私そのものを見てくれなくなった。だから私も一緒に夢は見られなくなったの。

いま、私は違う人と新しい世界に飛んでいきたいって思ってる。だからそれを止めないで欲しい。
道明寺の事は友達・・・そう思ってる。

だから恋人としては・・・さようならだよ。



*********


西門さんの家に潜り込んだのは24日の夜。
流石にこの人の部屋には泊まれないから、お弟子さんが客間を用意してくれてそこで1日お世話になることにした。
何故かワイン持参の西門さんが妙に浮かれた顔で客間にいて、私にグラスを持たせてる。

いや、そんな気分じゃないんだけど。
って思うんだけど差し出される上等なワインに負けてしまった。こんな日本家屋の客間でクリスマスイブを過ごすだなんて思ってもみなかったけど?しかもこのエロ門さんと2人でよ?

「司、どうだった?変わんなかっただろう?」
「全然変わってなかったわ!あいつ、やっぱり私の事をペットだと思ってんのかしら!私の気持ちなんてわかってないのよ」

クスって西門さんは笑ったけど。

「牧野も司の事わかってねぇんだよ。あいつはとにかく素直じゃなくて不器用だ、女に対してだけな!本気すぎてどうしていいかわかんねぇんだよ。なんでもかんでも与えられて育ったから、同じように与えることしか知らねぇんだ。何かをもらえる嬉しさってもんを知らないからな・・・。俺たちみたいな人間の悪いところだな!」

「それを理解しろっていうの?・・・今から?もう遅いよ」

西門さんの言うことは少しはわかる気がする。あのドレスがそうだったじゃない。
あれだけたくさん好みじゃないドレスを並べられて、その中から何も考えずに1着投げられて着ろと命じられても嬉しくない。
それよりか一緒に選んでくれて、私の気に入ったものを着たときに一緒に喜んでくれる人がいいの。
私の笑った顔を喜んでくれる瞬間が欲しかったよ、道明寺・・・そんなに冷たい顔じゃなくてさ、前みたいに笑って欲しかったよ。

擦れ違ったまま、今度は離れ過ぎちゃったよ。



「まぁ、司の事はいいとして・・・明日はどうすんだ?あきらんとこ」

「い、行くわよ!招待されたんだもん!行かなきゃ悪いじゃないの。服だってそのために買ったもん」

「マジで?頑張ったじゃん!まさかまたとんでもないドレスじゃないだろうな!ない谷間を強調させるような・・・」

このあと一発この男を殴ったわ。
そして仕方がないから世間では貴重と呼ばれるこのクリスマスイブを天性のエロ男と過ごして、夜中までワインを飲みまくった。
明日の緊張を忘れるためだったのかもしれない。横目でワンピースの入った袋を見ながら最後の方はもう何を話したかもわかっていなかった。


そしてクリスマスの日、ガンガンする頭を抱えて西門邸で眼を覚ました。


********


「あきら、今日のパーティーには何処のお嬢さんを招待したんだ?私の耳にはまだどこからも情報が来ていないようだが?」

スペインから戻ってきた親父が25日の朝、俺に聞いてきた。
俺の花嫁候補・・・そういう女性をこのパーティーに連れて来いと言われ、もし決められないなら親父が何処かから連れてくる女性との婚約を考えろっていう言葉を1ヶ月前に伝えられていた。

「ちゃんと招待状は渡してる。ただ今日ここに来るかどうかは彼女次第だけどな。俺を選んでくれるんなら今日のパーティーには姿を見せてくれるさ。俺はそれを信じて待つし、もし来なかったとしても親父の選んだ人はお断りだ。俺は彼女しか考えられないから、もし今回がダメでも諦めたくない。返事をもらえるまで待つつもりだ」

「ほぉ・・・そんなに惚れた相手がいるのか?何処のお嬢さんだね?」
「いや、お嬢さんなんてタイプじゃないよ。普通の・・・普通だけど特別なんだ。俺にとってはね・・・」

ニヤって笑う親父・・・何だか少し親父にハメられたような気もしたけど、まぁ、それでもいい。


部屋に戻って仕上がったドレスの前に立つ。これを着た牧野を想像するんだ。
そしてこのドレスを着せているトルソー(マネキン)の手の平に持たせたブルーダイヤ。いつか俺が牧野の左手にそっとこれをはめてやる。その時は今よりも少しは大人の女性になってるだろうな。

俺は牧野を閉じ込めたりはしない。自由でいいんだ、あいつの思うようにいつもの笑顔で飛び回っててもいいんだ。
でも必ず俺の所には帰ってくる・・・俺はそれを両手で迎えてやる。そんな風に牧野の羽を奪わないで暮らしていきたい。

でも俺は本当はすごく嫉妬深くて独占欲が強いんだと思う。
今でも牧野が司の所にいるのかもしれないと思うと胸が苦しいし、すぐにでもあの家に行って助けてやりたい・・・この手で抱き締めたいって思ってしまう。そのぐらい俺は牧野に惚れてる。

幼馴染み達の方がストレートに愛情表現できて、強引にでも引っ張って行くような強さはあるんだろうと思う。
でも俺にはこんな愛し方しか出来ないんだ。ハラハラするようなんじゃなくて安心できる場所・・・お互いがそうであって欲しい。


牧野、お前はどう思う?こんな俺の事、頼りないなんて思うかな。
もしそう思うんなら余計に俺の手をとって欲しいって思うよ。そうじゃないってところを一生かけて見せてやるから。

まだ牧野が着てもいないのに、ドレスの袖にキスしてしまう。
何だろう、もうすぐ始めるパーティーのことを考えてドキドキしてしまうんだ。





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2017/12/24 (Sun) 16:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・笑いすぎてコメントが書けないっ!!

ちょっと待って・・・1つずつ整理しましょう・・・。

そうそう、うちのオカメインコ!常に自由にしています。気が付いたら背中にいたり、足にいたり・・・パソコンのキーボード叩いている事さえあります。えぇ、自由ですとも!

で、ひたすら待つ・・・ぶははは!!動けって言われてもっ!!
ここで動きまくったら総ちゃんや類と一緒やないですかっ!
誰か1人変わったシチュエーションで恋してもらわないとっ!いいんです・・・ジッと待つハエ取り草のような人で!
来たらぱくって食べるのよ!

マネキンっ!私の部屋には3体あるんですよ(笑)
確かに会社の人には不気味だって言われましたけど、私のように衣装作る人には、いて当たり前のマネキンなので(笑)
まぁ、あきらは衣装作りませんけどね!

ドレス注文してるからマネキンさんが着ててもいいかと思ったのよーっ!!

想像出来なかった?ドレスにキスするあきら・・・私、めっちゃ想像出来たんだけどなぁ・・・。

つくしの写真は貼っていませんっ!・・・多分。

お腹痛かったわ・・・歯茎の痛いのが飛んでいくかと思った・・・。

2017/12/24 (Sun) 17:17 | EDIT | REPLY |   

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