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<side千春>
私が警護の男性にスマホを取り上げられたその日の夜、さっそくお家元からの呼び出しがあった。
当然そこには家元夫人もいて、昼間に私がした対応について問われることはわかっていた。
あの電話の内容は盗聴と同時に録音されているはず・・・お二人はもうその報告を受けたに違いない。

総二郎さんが現在いる場所と私が祥一郎さんと連絡を取り合っていたこと・・・それ以外のまだ情報が漏れていないことを私の口からは言わない。それしか手がなかった。

**

「失礼致します。千春ですわ。お呼びだと伺いましたので・・・」

「入りなさい」

廊下で声をかけたら、いつもより低い声の家元・・・私に対してこのような態度を表したのは初めてだった。
静かに襖を開けて中に入ると、当然ながら隣には難しい顔をした家元夫人が座っていて二人で私を睨みつけている。予想通りだったけど、ここで動揺してはいけないと心を奮い立たせお二人と向かい合って座った。

「千春さん、この度のことだがどういう事か説明してもらおうか。何故、千春さんが祥一郎に総二郎をのことを連絡したんだね?それに総二郎が北海道の名寄という場所にいたことを知っていたのかな?」

「・・・総二郎さんが名寄という所にいることは知りませんでしたわ。お家元達のお話しで北海道にいらっしゃるようだということは何となく知っておりましたけど。それと、祥一郎さんは元々私の婚約者です。相談相手になっていただいていたとしてもおかしくはありませんでしょう?」

「祥一郎は誰にも今の連絡先など教えてはいないし、私達がこんな事を言うのは申し訳ないが、祥一郎に置いていかれた人だ。今更相談相手になるとは思えんが?今までも一言も祥一郎のことなど私達には言わなかったのではないかな?」

「確かにそうですけど、私の心の内など私にしかわかりませんわ。さほど置いていかれたことを気にもしていないから総二郎さんの婚約者になった・・・そして、祥一郎さんの連絡先を偶然知ったけれどこの家を去られた方なのであえて報告はしなかった・・・そういう事だって考えられますでしょう?」

お家元に向ってよくこんな言葉が出るものだと自分でも驚いた。

そこまでの嘘は言っていない。どうせ調べればわかることなのだろうから私からは言わないだけだ。
案の定、お家元はすでに調べた内容を伝えてきた。


「名寄という所に西門という医者がいるかどうかを調べたらすぐにわかったよ。驚いたが産婦人科医だそうだね。まさか本当に医者になっているとは思わなかった。そして、あなたは祥一郎と北海道で会っているね?」

「・・・・・・」

「随分前に一度和泉へ数日間戻っていたようだが、その時のことを調べさせてもらったよ。あなたは和泉に戻ってすぐ、何処かに移動している。そしてあなたの電話には北海道旭川のホテルが登録されていた・・・うちの情報網をあまりバカにしない方がいい。そんなもの調べればすぐにわかるんだよ。ちょうど千春さんが西門を留守にした時期、祥一郎は旭川のそのホテルで医師会に参加している。それが何を意味するかわかってるだろう?自分の事だからね」

家元の冷静な声にこれ以上隠し事は出来ないと思った。その部分だけは認めるしかない・・・そう思った。


「仰るとおりですわ。でも、誤解がありますわ。私は祥一郎さんに会いに行ったのではありません。総二郎さんが旭川にいるらしいと聞いてしまってので実際にこの眼で見たかっただけですわ。どんな所なのか・・・婚約者ですから当然でしょう?
そこで偶然、祥一郎さんと出会いました。総二郎さんの事をその時相談したのは事実です。それでこの度、連絡をしたのです。
先にお家元に連絡しなかったのは申し訳なかったと思っていますが、今まで祥一郎さんのいらっしゃる場所を知っていて隠したわけではございません。知ったのは本当に最近なんです」

「祥一郎に会ったことを知らせなかっただけでも心外だったよ。和泉家のお嬢さんともあろう人が・・・」


「・・・申し訳ございません」

お二人に向って両手をついて頭を下げた。
祥一郎さんが志乃さんと繋がっていること、本当は祥一郎さんに会いたくて北海道に行ったということは言わなかった。
そしてつくしさんの名前は出なかった・・・もしかして、つくしさんが妊娠してることも知らないんだろうか。


「とにかく、電話の内容から西門を脅迫してきた上野明日香が千春さんの電話にかけてくるとわかった以上、これをお返しするわけにはいかない。後はこちらで対応するから千春さんは大人しくしておきなさい。もし、ここにいられないと判断したなら暫く和泉に戻っても構わないよ。だからといって総二郎との婚約は取り消すつもりなどないから、この度のことも外部には漏らさないようにする。そのつもりでいなさい」

「・・・わかりました」

「総二郎が見つかるまではあなたにも監視はつけさせてもらう。・・・いいね」


とうとう西門が名寄に向う。総二郎さんが・・・つくしさんと引き離されてしまう。
それを何処にも伝えることが出来なかった。


*********

<side類>
5月連休が終わったその日、朝一番の便で俺は日本に着いた。その足ですぐに北海道に行くため手配をしている時に祥兄から電話があった。
なんていうタイミング・・・少し嫌な予感がする。俺は空港でその電話をとった。

「もしもし、祥兄・・・誰かが動いたんでしょ?」
『・・・流石だな。類・・・頼みがあるんだが聞いてくれないか?』

「わかった。電話で話す?実は今、日本に着いたばかりなんだ。今からそっちに向う。動いたのって嫌な人間みたいだね」
『そこまで知ってるのか?こっちに着いたら俺の診療所に来てくれないか?そこで話したい。すぐに来れそうか?』

「そんなに急いでるの?飛行機は一番早い便を使うから昼頃には新千歳に着くよ。そこからは専用ヘリで名寄に行く。夕方近くになるかもしれないけどいい?」

『あぁ、大丈夫だ。ごめんな、急がせて。じゃあ今から診察が始まるから』

祥兄は詳しいことを電話で話したくなさそうだった。それに診療時間ギリギリだったから長話は出来ない。
それほど自分の周りに何か危険が迫ってると思ってるの?でも、祥兄は西門に探されてはいないはず・・・祥兄から総二郎のことがバレたってことかな。念のため西門に潜入させたSPに探らせよう・・・迎えに来ていた花沢の人間を側に呼んだ。

「西門に潜入したSPに連絡して、素性を話していいから千春から何があったかを聞き出しておいて。聞き出せたらすぐに俺に連絡して。大至急ね」

「畏まりました」


牧野がすごく怖がっている気がする。
孝三郎に襲われたときのように一人で震えてるんじゃないんだろうか。総二郎がすぐ側にいても、あいつさえも無くしそうな気がして誰にも言わずに不安を抱え込んでない?

いつもそうだよね?縋ればいいのに、泣いたらいいのにすごく我慢するんだ。
西門に育ててもらっている時からそうなんだよね。誰かに世話になってるって負い目が彼女を自由にさせないんだ。

だから・・・俺の所で自由になって欲しかったんだよ?


本当は今でも牧野をさらっていきたいって思ってる。どんなに泣いても俺の胸の中で抱き締めてあげたいって思ってるよ。
それを選んでくれたら・・・俺はこのまま総二郎を敵に回してでもあんたをフランスに連れて帰りたい。

一生、俺の中で温めてやりたいって・・・牧野、俺は今でもそう思ってるんだ。
それを言葉に出さないように自分を抑える事が出来るだろうか・・・全然自信なんてない。顔を見たらすぐに言ってしまうかもね。


「類様、搭乗手続き完了しました。本当にお一人で?」
「あぁ、向こうにも数人いるから大丈夫。ありがとう、会社の方も頼んだよ」

新千歳行の飛行機は間もなく東京を飛び立つ。

俺は久しぶり牧野に会えることの喜びと、それ以上の不安を抱えて機内に入った。


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Comments 6

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2017/12/18 (Mon) 14:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

ちょっとーーっ!!(笑)
また私、違うお話しのコメント開いたかと思って確認しちゃいましたよっ!
ここ小林くんいないから!もうっ!(笑)

あれ?さっき小林の事書いたような気がするんだけど?・・みたいな!


しかも「石原軍団」とか来ないから!1番前にライフル持った渡哲也がいたら超怖いから!
舘ひろしがバイクで走りながら撃ってきたら総ちゃん死んじゃうっ!(死ぬか!by総二郎)

頭の中で西部警察のテーマソングが流れ始めました。
西門・・・大門・・・似てる。

さっきまでキャンディキャンディの曲だったのに(笑)


追伸。。。さっきコメ返しようとしたら「不正コメント」になりました(笑)
さて、何処でしょう!

2017/12/18 (Mon) 23:38 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/19 (Tue) 13:56 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/19 (Tue) 18:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

えっとね、by総二郎の所なんですが、
初めに入れたのが「○すな!by総二郎」だったんですよ。

○には殺をいれてね(笑)

R関係だけじゃないんですね!脅迫文章と取られたのね!
しかし、コメ返不正って他にも誰かいるのかなぁ・・・また歴史に残ったらどうしよう(笑)

2017/12/19 (Tue) 21:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・気が付かなかったよ!

そう言えばあれは「太陽に吠えろ」でしたね!
そのうちボスじゃなくて「山さん」がしてましたよね!

実は私、この時の渡辺徹が好きでした。
でも、最後の殉職シーンでエレベーターに挟まれていたのを見て一気に冷めましたよ。
懐かしいお話し、どうもありがとうございました!

今日も笑い皺が増えたよ~💦

2017/12/19 (Tue) 21:48 | EDIT | REPLY |   

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