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『花沢様でいらっしゃいますね?千春と申します』

「うちの人間にじゃなくて直接俺と電話で話したいってことはかなり重要な内容だって思っていい?何があったの?」

田中という花沢のSPの電話から聞こえてきた女性の声は上品で落ち着いた感じ・・・いかにも大事に育てられた深窓の令嬢といった雰囲気の声だった。特に取り乱す感じでもなくて冷静だった。

『花沢様の所からこのような方がこの家にお入りだったとは気づきませんでしたわ。それにあなたのことは噂で聞く程度で何も存じ上げませんもの。失礼とは思いましたけど直接私の前でお電話いただきましたの。お力になっていただけるんですよね?』

「もちろん・・・2人を北海道に行かせたのは俺だし、何より牧野を守りたいからね。それで?本題に入ろう。時間がないんだろ?」

『そうですわね。それでは西門にかかってきた電話の内容からご説明しますわ』


俺は千春から西門にかかってきた、上野明日香の脅迫内容を聞いた。
連休明け、上野明日香には総二郎が現われると予想される場所があったらしい。総二郎を見つけたときに千春のスマホに連絡を入れるから迎えに来いと言われたそうだ。もちろんその場所は上野明日香が調べていた祥兄の診療所のことだろう。
迎えに来るときには当然千春1人ではなく、西門からそれなりの人数を連れてこいという意味を含めている。

その見返りは1億。千春は自分1人で1億持って行くつもりだったと言った。
出来たらそのまま上野明日香を黙らせて、総二郎達が名寄で暮らしていけないものかと・・・それを祥兄に相談したかったと彼女は言った。
だから家元達には言わずに祥兄にだけ連絡を取ったが、その連絡中に家元が手配していた警備の人間にスマホを取り上げられ、すべてが家元に報告された。祥兄が詳しいことを言わなかったんじゃなくて、祥兄もまだ何も知らないんだ。
千春が脅迫されたことも、検診に行けば捕まってしまうことも。


『申し訳ありません。何にも知識がないために、まさか電話が盗聴されてるなんて思いもせずに話してしまいました。ただ、これは関係ないと思うのですがつくしさんが妊娠していることは気が付いてないようですわ』

「だいたいは飲み込めたよ。俺はこれから祥兄の所に行って説明してから、2人を花沢で隔離するつもりだから。あなたも心配だったね。でも後はこっちに任せて。どうせ西門に見張られてるよね?暫くは大人しくしときなよ」

『花沢様、宜しくお願いしますわ。総二郎さんとは婚約を解消するつもりなのです。お2人の邪魔をするつもりなど、もう私にはないのです・・・ですから、どうか助けて差し上げて・・・!』

「わかった。急ぐから切るね」

千春の電話で西門と上野明日香の動きはわかったけど、うちの人間が調べたところだとそれは明日だ。
俺は待機していた車に急いで乗り込んで祥兄の診療所に向った。


********


何故だ・・・真横にいる上野明日香に異常なほどの恐怖を感じる。
つくしを待たせている場所とは反対方向の出入り口、あまり人が寄ってこないような場所を選んでこいつと話すことにした。


「俺の事をいつ知ったんだ。まさかと思うがあんた、西門と繋がってたのか」

「まさか!偶然よ。普段なら読みもしない週刊誌にあなたの記事が載ってるのを旭川の病院で見ちゃったの。茶道なんて興味もないしあなたがそんな人だなんて思わないわよ」

「俺が名寄にいることは話してないはずだ・・・何故ここがわかった?」

「石川晃平・・・あなたの生徒でしょ?あの子ね、私のいとこなの。遊びに行ったら優秀な家庭教師が辞めたって、おばさんが残念がってたわ。もう少し違う名前は思いつかなかったの?西田先生だって?あはは!」

晃平・・・旭川まで教えに行っていたあの子か!
あの家の母親が俺の紹介元と特徴でも話したのか・・・ついてねぇな!僅かな人数しか教えてなかったのに。


「じゃあ、ここで会ったのは俺たちを探し回ってたのか。紹介元が名寄の病院だったから?」

前回のつくしの検診の時、やっぱりうろついていたのはこいつだったってわけだ。つくしの見間違いじゃなかった。でも、花沢の別荘には近寄っていない・・・あの家は知られてないはずだ。

「ここであなたを見かけたのも偶然よ。本当は産婦人科で偶然を装って会うつもりだったの。友達だって言って聞いたら連休明けに検診があるっていうからさ。ハッキリした日にちは教えてもらえなかったから暫く見張ってようと思ったのよ。今日はそのために名寄に泊まるつもりだったから来たの。ここのすぐ近くにあるホテルに2.3日、泊まろうと思ってね。つまみでも買って行こうかと思ってこの店に立ち寄ったらあなたが買い物してたってわけ・・・ホント偶然って怖いわね!」


確かにな・・・恐ろしいほどの偶然だ。ほんの数分ズレれば問題なかったのにな。

西門と無関係なら何とか出来るかもしれない。冷静になれ・・・とにかく冷静にこの場を乗り切れば何とかなる。自分にそう言い聞かせながらこいつの次の言葉を待った。


「あなたがそんな有名な人だったなんて・・・。こんな田舎に似合わない人だとは思ったけど、まさか東京から逃げてきた人だなんてねぇ」

「俺はきっぱり西門とは縁を切ってきたつもりだが向こうが騒いでるだけだ。それに俺が逃げたなんて報道はされてない。事実ここにいるから反論はしねぇが表向きは修行になってるはずだ」

上野明日香は自分の持っているスマホで何か操作しながら、ニヤニヤと嬉しそうに話しかけてきた。この言い方だと要求する物は金だろう。その金額でも計算してるのかやけに楽しそうに言葉を出す明日香にイライラした。
いくらふっかける気か知らねぇが何十億って言われない限り別に問題はない。だがそれだけですむのか?そのぐらい裏がありそうだった。

「私ねぇ・・・あなたの彼女が嫌いなの。一番許せないタイプなのよ。不幸そうな顔しながら本当は恵まれてる事、ちゃんと知ってるのよ。あなたや前の人みたいにいい男が自分にはついてるんだって・・・何をしても守ってもらえるんだって本当は心の底で思ってんのよ。病院だって特別待遇だったのはみんなあなた達のおかげじゃない。なのに暗い顔ばっかりしてさ!落ち込んでたら助けてもらえるって甘えてるんでしょ?」

「あんたがどう思おうが勝手だ。そう思いたきゃ思えばいい」

「そもそも彼女の怪我ってあなたの家と関係あるの?あの怪我、普通じゃなかったわよね。彼女の態度からしても誰かに襲われたのかと思ったわ。それにもう1人の男・・・彼は牧野さんの事が好きでしょ?寄り添い方が異常だったものね。いい男2人が彼女の取り合いでもしてたの?そんな価値が彼女にあるわけ?」

「教える必要あんのか?それより話ってなんだ。早く言えよ」

こいつがつくしをどう評価しようと関係ない。いちいちそれが事実だとか、事実と違うだなんて説明も必要ない。
俺は早くこいつを黙らせてつくしの元に帰らないとあいつが心配する。そっちの方が大問題だった。そのために強請るんならすりゃいいんだ。ただし、それをしたら二度と近づかないように教え込んでやるけどな・・・!


「そうねぇ・・・実はね?私、あなたのことを売ったの。お金ならそっちからもらうからいいのよ。私の話はそれじゃないわ」

「・・・なんだと?売った・・・ってどういう意味だ?」


ここで初めて俺たちは眼を合わせた。
自分のスマホの画面をちらちら見ながら意味ありげに笑う・・・この時に嫌な予感がした。

まさか千春に電話をしたのは上野明日香か?俺を売ったってのは千春に?彼女に金の要求をしたのか!
俺がびっくりした顔を見せたのが愉快だったのかこいつはクスクス含み笑いをして怪しげな目付きで言葉を続けた。

「お金じゃなくてあなたが欲しいのよ。西門総二郎さん?・・・あなたのことはネットで調べたら色々と書かれてたわ。さすが東京の人は違うわねぇ!同時に何人も・・・ですって?それなのに今はあんな女1人に振り回されてこんな土地にまで逃げてきてんの?
笑っちゃうよね!」

「・・・それだけの女だからな!お前みたいな女にはわかんねぇだろうけど」

「何ですって・・・!」

俺の言葉にこいつは急に怒りを露わにした。持っていた電話を握ってる指先が震えて唇をキッと噛んだのがわかったが、そんなものはどうでもいい・・・俺が欲しいっていいやがったが、そっちが狙いだとは思わなかった。

「・・・まぁ、いいわ。そんな事を言ってられるのも今だけよ。あなたには選択肢を用意してるの。どっちを選んでもいいわよ?」

「選択肢・・・なんとなんだ?言ってみろよ」


「このまま私が呼んだ西門の人に連れて行かれて牧野つくしと別れるか、西門から逃げる代わりに私を選ぶか・・・ってこと。
どっちがいいかしら?西門に連れて行かれたら私には1億円が入るの。でも、西門も彼女も捨てて私を選んでくれるんならそれでもいいのよ?人違いでしたって言えばいいんでしょ?そしてあなたが自由に暮らせる場所に今度は私と逃げましょうよ・・・楽しいかもよ?」

「・・・へぇ!西門から逃げられる道も用意してくれたのか!気前がいいな・・・あんた」


「えぇ、まぁね。そっちの方がいいなら手を貸すわよ?」


上野明日香の手が俺の首に巻き付いた。
昔、こんな匂いをさせた女が俺の回りには随分といたような気もする。1年前の俺なら・・・


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2017/12/20 (Wed) 15:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あ、あの・・・有り難いんですがお目出度い内容では全然・・・むしろ怒られるような気がするし(笑)
お気持ちだけいただきます(笑)

2017/12/20 (Wed) 19:25 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/21 (Thu) 01:06 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんな状況なのにお腹痛いコメントありがとうっ!

アーモンドチョコ来るとは思わなかった!(爆)
そういえばやってましたね!チョコ食べられないのに買った記憶さえあるわ!
乗せられやすい人なんでしょうね、カリッって音がどうしても出なくて(笑)挑戦していましたよ。

タックルって「ラガー」だから?(笑)
個人的には三田村さんの「ジプシー」にウケていましたけどね!あの作品のネーミングってなんだろうね~!

三田村さんと言えば「秀さん」(さとぴょん様知ってるかな)
高校生の時だったかなー?コスプレで秀さんの格好しました(笑)遠い日の思い出です。


ハシビロコウ・・・乗っても飛んでくれなさそうだけど!

総二郎、ソウジロウに乗る。ソウジロウ動かず総二郎捕まる・・・何の話だ(笑)!!

2017/12/21 (Thu) 10:39 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/22 (Fri) 01:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます。

あー相手はキョンキョンだったっけ!(笑)
実は渡辺徹が初めてレコード出したんですよ。太陽に吠えろの時ね。
それで私の母が誕生日プレゼントにそのレコードを買ってくれたんです。
昔のレコードですよ!デッカいの!

買ってくれたのはいいんですけど、うちにプレーヤーがなくてね(笑)聞けなかったのよ!
今でも不思議なんです・・・何で母は買ってくれたんだろう。プレーヤーもないのに!

愛情・・・だったのかしら?(笑)

2017/12/22 (Fri) 11:19 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/22 (Fri) 15:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あはは!そうでしょう?
「ありがとうーっ!」って言ってはみたものの内心複雑でしたよ。
仕方ないから飾っていました。今でも未使用で実家にあります。

今なら「いる人ー、手を上げてーっ!」って言いますわ(笑)

この私の「おかん」、今でも時々とんでもない事します。
歳をとって可愛いですが、たまに殴ろうかな?って思うような事をします。

あ、そうそう!
この「おかん」ですよ。インコに「生きてる?」「年とった?」って言われているのは。
「まだ生きてるよ!」「あんたも年とってるよ!」って本気でインコに答えています。

2017/12/22 (Fri) 23:17 | EDIT | REPLY |   

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