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plumeria

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私は類の居場所を確信できた・・・絶対にあそこのベンチに1人で座っているわ。そしてこの星空を眺めているに違いない。

初めて類とで会った街角の奥にある、小さな公園を目指して私は固いパリの道をひたすら走った。
こんな寒い夜に1人でいたら凍えちゃうよ?こんな素敵なクリスマスの夜に1人でいたら・・・寂しくて涙が出るよ?

あとちょっとだ!公園まであと少しっていうところで私の足はゆっくりになった。だって、賑やかな表通りとは違ってここはすごく静かなんだもの。類が1人で何かを祈っていそうだったから静かに近づいた。


公園が見えてきた。

ほら・・・ね?ベンチの真ん中で空を見上げてる人が1人だけいるわ。グレーのマフラーに顔を埋めてコートのポケットに手を突っ込んで長い脚を組んで座ってる。ホントに凍えそうな・・・類が見えた。

私は足音をさせないようにそっと近づいて、類から見えないように公園の外側をぐるっと回って彼の後ろ側に行った。こっそり後ろから近づいて驚かせてあげる・・・ここにいる事がわかるのは私だけでしょう?きっとびっくりするよね?

そう思って公園の中に入って、あと一歩で類の背中に辿り着くところまで来たら声をかけられたの。


「遅いよ・・・牧野」


********


家に帰りたくなくて、でも何処かに行こうと思ってもここ以外思いつかなかった。こんな夜に来るなんて一度もしたことはなかったけど、ここだと冷静にいろんな事が考えられると思ったんだ。

でも、考えることは牧野の事ばかり。

今どこにいるんだろう。何を考えてる?傍にいるのは誰なの?・・・まさか、誰かの胸になんか抱かれてないよね?
まだ夢は持っている?1人で泣いてない?・・・俺以外の誰かにケーキなんて焼いてないよね?


この公園は表通りとは違ってとても静かだった。ビルの間にあるからだろうか暗くて誰も来ない。
周りにあるビルやアパートからはこの時間でも各家庭の明かりがカーテン越しに見えるけど、何処も幸せそうに見える。
そして誰かわかんないけどこの公園の植木にも小さな星のオーナメントが一つだけぶら下がっていた。
何処かの子供かな?何かの願いを込めてここに飾ったのかもしれないね。

夜空を見上げたら・・・今日はすごく沢山の星が輝いていた。それこそ夢の世界のように・・・。


そんな時、俺の視界の端っこに1人の女の子が映った。
狭い道からゆっくりと、まるで足音をさせないようにしているかのように・・・隠れてるつもりなのかもしれないけど丸見えなのにね。


クスッ・・・なんだ!ここがわかったんだね。
俺を驚かそうとしてる?そんなにわかりやすいのに?・・・じゃあ、待っててあげる、あんたが近づくまで待ってるね?
可笑しくてたまんない!多分凄く真剣なんだろうね・・・でも、足音もちゃんと聞こえてるよ?だんだん近づいてきたでしょ?

そして俺の真後ろまで来たときに我慢できなくなってとうとう声を出してしまった。

「遅いよ・・・牧野。いつまで待たせるつもりだったの?」
「うそっ!気が付いてたの?いつから?」

「あそこのビルから顔出したときから。だって、どんなに離れてても牧野ってわかるんだもん」

そう言うと牧野の腕が後ろから俺の身体を包むように回ってきた。そして冷たくなったお互いの頬が重なった。

「でもすごいでしょ?ちゃんとここに来たんだよ?」
「うん・・・よくわかったね。ね・・・今まで何処にいたの?」

「ちゃんと類にケーキ届けに行ったんだよ?でも、道を一本間違えたみたい。私、裏道通っちゃったの・・・ごめんね」
「なんだ・・・そうだったんだ!待ってれば良かったんだね?5分が待てなかったなんて・・・俺こそごめん」

「ううん・・・プレゼント、ありがとう。まだ見てないけど」

「俺もまだ見てない・・・牧野のケーキ。だからお互い様だね」


その後、満天の星空の下で牧野にキスをした。見てるのはたった一つの星のオーナメントだけ。

「メリークリスマス・・・牧野、愛してるよ。だから・・・一緒に日本に帰ろう?」
「メリークリスマス、類・・・私ね実はね・・・」

このあと牧野の肩を抱いてアパートまで帰る途中に母さんに言われたっていう話を聞いた。
なんだ!あの人、俺には一言だってそんなこと言わなかったのに!密かにそんな計画たててただなんて。
真っ赤な顔して興奮気味にこれからのことを話す牧野・・・母さんからのプレゼントの方が一番嬉しかったのかもしれないね。


***


その日の夜は牧野のアパートで朝まで牧野を抱き締めていた。
小さな部屋の隅にある小さなベッドの中で、小さく丸まって寝てる牧野はすっぽりと俺の腕の中・・・素敵な夢でも見てるのかな。
幸せそうな寝顔を俺に見せてくれた。

もう牧野は朝早くにここを出ていかなくてもいいんだ。これからは俺と毎朝一緒に目覚めるんだから。
1人で眼が覚めてしまったから我慢できなくなって、牧野の瞼にキスしたらくすぐったそうに薄く眼を開けた。

「牧野・・・ね、もう一回愛してるって言って?」
「ん・・・?ふふっ・・・類、子供みたい。甘えんぼだね・・・」

「さっきまでは牧野が甘えてたんだよ?ほら・・・もう一回!」
「・・・嫌だ、恥ずかしい。類のバカ!」

言葉を恥ずかしがって布団の中に潜り込んでしまった。クスッ・・・どっちが子供なんだか!



出会ったときには思いもしなかったよ。ここで朝を迎えるだなんて・・・。

本当に小さなクリスマスツリーがテーブルの上にあって、その横にはくるみ割り人形が置かれてる。
他には何もないんだ。、豪華な料理も贅沢なドレスも煌びやかな装飾品も何もない寂しい部屋・・・なのにすごく暖かいんだ。

暫くしたら布団の中から牧野がひょこっと顔を出して、モゾモゾと俺の顔に近づいてきた。
そして耳元でホントに小さな声で「愛してる・・・」そう言ってくれた。


昨日の満天の星よりも、ツリーのイルミネーションよりも綺麗な俺の恋人・・・彼女は俺の人生を甘く変えてしまうかもね!

Joyeuse fête de Noël!
神様がくれた最高のプレゼントにもう一度キスをあげる。




fin.

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類くんのクリスマスストーリー、終了です。
読んでいただきましてありがとうございました。
明日はおまけのお話しです!ケーキ、食べなきゃね!
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Comments 4

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2017/12/25 (Mon) 15:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは。

私はクリスマスは何もない・・・と、いうか今、ほとんど飲みものしか口に出来ない状況でして(笑)
今日も病院に行ったら恐ろしい言葉が来ました!

このまま歯茎というかもう喉に近いんですけど、痛みが取れなかったら手術だと・・・。

あらまぁ!そうなったら・・・ブログどうしよう(笑)
ケーキとかアイスとか食べられないよ~!!
なのに旦那が1人でアイス食べてるのは何でだろう・・・酷い男だ!

あ!向日葵(笑)
そ、そうねぇ・・・両方かな!この際・・・やめる?(笑)
えーと・・・いま、どこだったっけ!類が病院に運ぶとこまで?・・・ヤバい。くらい年末になるぞ!

体調のいいときにお読み下さい(笑)

2017/12/25 (Mon) 15:32 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/25 (Mon) 19:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

ホホホ!こっちは可愛くロマンチックに仕上げてみました。

でね、書き終わって良かった!何とか25日には終われる!って思ってたら・・・あれ?ケーキは?

ってなりましてね。
ケーキ食べないとこの話終んないじゃっん!!ってなりまして(笑)

初めはおまけも25日にしようかと思ったんですが、ちょうど明日の類のお話しがなかったので
こりゃいいや!と思って(笑)
でもね、ケーキ食べるシーンは1行で終った・・・!なんのための「おまけ」だっ!

流石に6話も更新したら疲れました。歯医者さんから帰って痛いのにチェックしてたら間違いを見つけて、
このお話も公開してから間違いを見つけて・・・ボロボロよ!(笑)

明日から仕事にも復帰しないといけないし・・・(実は金曜から休んでいるのです。えへへ!)

子供がいるときにはツリー飾ってケーキ食べて、プレゼントしてましたけど、旦那と2人だと
ものの見事に平日ですね!何もないです!

まぁ、私はお話しでクリスマスを満喫出来ましたけどね!

2017/12/25 (Mon) 20:10 | EDIT | REPLY |   

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