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茶道表千家西門流の若宗匠、西門総二郎氏は愛妻つくしが現在出産予定日間近ということもあって本邸に缶詰状態だった。
予定日は1月2日・・・だが、つくしが少し腹痛を訴えており自室で横になっていた。

当然屋敷中は大掃除どころではない。家元も家元夫人も何もしないくせに屋敷中を走り回っているばかり。
使用人達は里帰りもせずにつくしの出産を待ち望んでいた。

何故か不思議なのはこの大晦日の西門邸にこの3人もいるという事実である。


道明寺司、花沢類、美作あきら・・・日本を代表する大企業の御曹司3人組が揃ってこの西門邸に詰めかけていて、しかも3人ともがつくしの傍にいるのである。
当然無茶苦茶面白くないのは総二郎・・・よく見たら右に類、左にあきら、頭に司。総二郎は何故か足元に立たされていた。


そんな西門邸の大晦日の大騒動がこれから始まる。


*********


「大丈夫?牧野・・・やっぱりもう病院に行った方がよくない?心配で俺の方が倒れそう!」
「牧野!俺がついてるから心配すんな!頑張るんだぞ!」
「牧野、しっかりしろよ!このぐらいで負けるな!今度俺が帰国した時には3人で観覧車に乗るぞっ!」

「ちょっと待て!・・・おいこら、そこの3人!いい加減にしとけよ?つくしが産むのは俺の子供だからな!類は倒れてもいいし、あきらはついてなくていいし、司は観覧車に乗らなくていいからここから出て行けよ!すっげぇ邪魔なんだけど!」

すぐそこまで近づいている初めての出産でつくしが緊張してるのに横でぎゃあぎゃあと喧しい!
しかも旦那の俺が何で1番つくしから遠いのかがわかんねぇ!

「あはは!4人で笑わかせないでよ~!まだ大丈夫だよ。お医者様の話じゃもっと痛いみたいだし、あんまり早くからみんなで押しかけたら病院に迷惑だからさ。絶対にあんた達、静かにしないでしょ?」

つくしは健気にそんな事言うけど、本当は俺も早く病院に行って欲しいんだ!まだ陣痛ってヤツはきてないみたいだけど、この腹を見てるだけでこれからの大変さがわかるような気がして。


「牧野、もうベビーベッドもあの子供部屋に運んであるからね!ふかふかのカーペットも、スリッパも!ドイツからはおもちゃも取り寄せてるんだよ。子供には木のおもちゃがいいらしいからね!どっちが産まれてもいいようにベビー服は白に統一してさ、フランスで作らせたのを届けさせたんだよ?可愛いよ~!フリフリしてて!楽しみでしょ?」

「うん、そうだね!ごめんね花沢類・・・沢山用意してもらって」
「ううん、俺の子供みたいなもんだもん!気にしないで?」

違ーよっ!!お前の血は一滴も入ってないから!変な事言ってると摘まみ出すぞっ!


「子供を産んだ後はリンパマッサージ出来るスタッフをスパに配置させるからな!産後の体型は俺が責任持って戻してやる!まぁ、俺としては牧野が多少肉付き良くなってもその方が好みだし、何も産む前と同じにならなくてもいいんだけどな!きっと今までよりも女性らしいボディになると思うから安心しろっ!」

「あはは!その時は頼むよ、美作さん、なんたってお腹がこんなに出てるもんねぇ!」
「いやいや、胸だって結構いい感じだし、俺は嬉しいよ!」

何でだよっ!つくしの身体が変わって嬉しいのは俺だけでいいんだよっ!お前まで喜ぶなっ!


「やべーな・・・子供がジェットコースターに乗れるのって何歳からだ?もう少し先になりそうなんだけど間に合わねぇかな・・・」

「ど、道明寺、いくら何でも3歳くらいからじゃないかな!・・・しかも子供用の小さいヤツじゃないと!」
「えっ!そんなに先なのか!じゃあメリーゴーランドだけでもすぐに完成させるからな!」

てめぇ・・・うちの子供を殺す気か!!誰が0歳児から遊園地で遊ぶんだよっ!クソ馬鹿野郎っ!


**


夕方になって少し楽になったからってつくしが起き上がってリビングの方に向かった。
一応年末だから毎年何かと来客があるんだけど、今日ばかりはそれを全部断わって親父もお袋もそこにいた。
俺がつくしの肩を抱いてゆっくりその部屋に入ると、それまで座って茶を飲んでいた親父が血相変えて近寄ってきた。

「おぉっ!つくしさん、大丈夫かい?そろそろ病院に行った方が良くないのかね?辛そうじゃないか」
「あらあら、お家元ったら情けない!もうちょっと落ち着いて下さいな!私の時にはそんなに慌てなかったではありませんか!
みっともないんだから・・・総二郎さんの時には病院にも来ませんでしたわよ?ホントに男はこれだから・・・!」

なんて失礼な親父だ!俺が産まれるときには来なかったのか!薄情なやつだ・・・絶対孫は抱かせてやらねぇからな!


「何とかお昼よりは楽になりました。少し飲むものをいただこうかしら・・・食べるのは出来そうにないので」

「そう?じゃあ寒いから温かいお茶にしましょうね!落ち着いたら何か少しでも口に入れなさい。お産は時間がかかるから体力が要るのよ?少しでもいいからね!」

「はい・・・ありがとうございます」


「・・・で?あなた達もそんなに心配なの?」

お袋が言ったのはつくしの後ろにくっついてる3人だ!リビングにまで来なくていいのに何で揃って来てるんだか!鬱陶しいってわかんねぇかな・・・でかい男が4人もいたら息苦しいっての!
その時、つくしが急に思い出したようにハッと顔を上げて俺の方を見た。

「総二郎、ごめん!安産のお守りを志乃さんがもらってくれたのに離れの奥のご先祖様の仏壇に置きっ放しだわ。悪いんだけど持ってきてもらえないかしら。場所、わかるかな・・・」

「そんな所に置いてきたのか!仕方ねぇな・・・わかった、取ってきてやるよ」

つくしが安心したように笑った。
安産のお守り・・・そりゃ必要だよな!俺っていう最強のお守りがついてるけど水天宮のお守りだもんな!つくしが落ち着くなら持たせてやんないと!
この後の悲劇なんて想像もせずに俺は浮かれ気分で取りに行った。


*********


総二郎がお守りを取ってきてくれるって言ったから安心してお茶を飲もうとしたときだった。急にお腹が締め付けられるように痛くなって、思わずお湯のみを落としてお腹を抱えてしまった!

「うっ・・・痛いっ・・・いやだ、どうしたのかしら、痛いっ・・・!!」
「どうしたの?牧野・・・!お腹痛いの?」

「う、うん・・・痛っ!何だかぐーっと締め付けられるみたいに・・・何だか、すごく痛いっ!」
「つくしさん?あら、イヤだわ!始まったのかしら!病院にっ!誰か、病院にっ!」

・・・え?お産が始まったの?じゃあ、これってやっぱり陣痛?・・・痛いっ!私はもう座ってるのも痛くて下に踞った。
その時、彼らの声が頭の上で響いたの!

「司っ、大至急車の準備して!今から病院に行くよ!あきらは牧野の部屋から入院バッグ持ってきて!部屋の隅に準備してあったから!俺は牧野を抱えて行く!」
「なんで類が抱えるんだよ!俺が抱えてやる!」

「俺の運転で行く気?」
「・・・いや、俺が行こう!」

「でしょ?じゃあみんなで行くよっ!」
「「おおっーーっ!!」」


いや、ちょっと待って?総二郎がまだ戻ってないんだけど!
って思ったけど気が付いたら花沢類に抱えられて、美作さんに支えられて、道明寺が運転する車に乗り込んでしまった!
でも、私はお腹が痛くて声にならなかったのっ!

総二郎っ!早く来てーーーっ!産まれちゃうーーっ!


*********


仏壇の何処にお守りってのがあるのかわかんなくて、とうとう志乃さんを呼んできて探してもらってやっと見つけた。
やれやれ・・・って思いながらリビングに向っていたら1人の弟子が血相変えて走ってきた。

「若宗匠っ!大変でございますっ!奥様が・・・つくし様が!」
「は?つくしがどうしたんだ?何かあったのか!」

「急に産気づかれまして病院に行かれましたーーーっ!!」

「・・・・・・」

えぇっ!何だってーっ!俺がいないのに病院に行ったってーーっ?!
安産のお守り、俺が持っててどーすんだよっ!!


「なんで呼びに来ないんだよっ!誰が連れて行ったんだっ!まさか・・・あいつらかっ!」
「はいっ!花沢様が抱きかかえられて道明寺様の運転で、お荷物は美作様が持たれて!」

「親父とお袋は?!」
「西門の車ですぐにあとを追われました!」

「なんで俺だけ置いていかれるんだよっ!この家には気の利いた人間はいねぇのかっ!!」
「申し訳ございませんっ!あ、あのハーレーを表に用意してございます!」

俺は走りながらこの弟子と話をして、正面玄関でヘルメットを投げわたされ、ハーレーに飛び乗るようにして跨がった!


「待ってろよ、つくし!すぐに行くからなーっ!!」


大晦日の西門邸から真夜中に響いたハーレーの爆音!近所迷惑なんかこの際無視させてもらう!
俺はスピード全開でつくしの待つ病院に向かった!



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明日からは類君が短編5話の「mariage」
総ちゃんが「若宗匠総二郎の試練」「10月の向日葵・番外編」です。
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2017/12/31 (Sun) 12:10 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さくら様、こんにちは♥

えーと(笑)2回目のコメントですよね?
申し訳ありません、そちら様が花男のサイトをお持ちでしたら大丈夫ですが
今の内容ですとそれがよくわからないので、もう少し情報をいただけませんか?

サイト名や内容を教えていただけたらそれから検討したいと思います。
どうぞ宜しくお願い致します。

2017/12/31 (Sun) 15:02 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/31 (Sun) 17:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

最後の最後までありがとうございます!
ぶははは!!大晦日まで総ちゃんを苛めてしまう私!

どうやって総ちゃんをつくしちゃんから引き離そうかと、ここだけで1日考えましたよ。
もう無理矢理というか、ヤケクソというか(笑)

でも「安産のお守り、俺が持っててどーすんだよーっ!」って書いたとき、よっしゃ!って思いました(バカ)


可愛いでしょう?怒ってばっかりの総ちゃん!でも・・・病院でもあの3人が遊んでしまうんです!
可哀想に、総ちゃん、お正月から怒鳴っちゃうんだけど(笑)

可愛いお子様が産まれますんで、いつでもいいんです、暇になったら読んでね!
って言いながら自分が全然暇がない正月なので今からチェックに入ります!

それでは本当にこれで締めくくりですね!

良いお年を~♥


2017/12/31 (Sun) 19:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・ごめんなさい、追加!

例の件、情報ありがとうございます。
実は気になっていました。

そうなのね・・・うん、気をつけます!
ちょっと変ですもの。私に言われたくはないだろうけど(笑)

でも、さすがです・・・尊敬しちゃうわ!
お気遣いいただいて感謝です!

2017/12/31 (Sun) 19:59 | EDIT | REPLY |   

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