mariage~結婚~・1
あれはどのくらい前のことだろう。
初めて会ったときはお互いにまだあどけない学生で、あんたは三つ編みなんてして大人しく静かに学園の隅っこで生活してたよね。友達も作らなくて誰にも見られないように息を潜めるかのように。
それなのに、その生活を揺さぶってしまった俺たちのせいであんたは想像もしなかった世界を知って、それに振り回されて疲れてしまったんだよね。
何度も泣かせて、何度も怒らせて・・・それでも眩しいあんたに俺たちは全員恋をした。
俺はいつからあんたを好きだったんだろう。
今となってはもう覚えてないけど、もしかしたら初めて会ったときにもう恋をしたのかもしれない。あの非常階段で共に現実から逃げていたときに恋は始まっていたのかもね。
俺の中の小さな細胞があんたの事を好きになって、いつの間にかそれが大きくなっていって・・・気がついたら俺の細胞全部があんたを求めていたんじゃないかな。
そして今でもそれが広がり続けてて、もう誰にも止められなくなったんだよ、きっと。
**
あんたは俺の親友と一番初めに恋をした。
激しくて強引なあいつに引っ張られて、その恋はあっというまに燃え上がってまわりを巻き込んで、燃えさかる炎の中で苦しむような恋をしていたよね。それを黙って見守ることしか出来なかった俺はどん底にいたよ。真っ暗で何も見えないような世界にいたよ。
あんたとあいつは婚約までした。本気だったのかな・・・それとも、俺から逃げた?
だって恋人同士になったあんた達の前で、思いっきり嫉妬してる自分を見せてしまったもんね。
あんたの笑顔が見られたらいいって思ったのは本当だったんだ。だから、認めようって思った・・・あんたの選んだ道を。
初めて涙が出たかもしれないけど、それを隠すために笑顔の練習までしてさ。嘘っぱちな応援と祝いの言葉を贈った。
あの時は安心した?それとも・・・ガッカリした?
あんたはガッカリしたんだよ。だから、最後はあいつから逃げ出して俺の腕の中に戻ってきた。
アメリカでの結婚式・・・宣誓の直前になって、あんたは掴んでいたあいつの腕を振りほどいた。そのままウエディングドレスを翻しながら真っ直ぐ俺の方に走ってきた。
今にも泣きそうな顔で、あんたの眼は俺だけを見つめてくれてた。
もう教会だったにも関わらず、招待客全員の前であいつから離れて俺の胸に飛び込んでくれた・・・それは、ホントに夢のような光景だったよ。
大勢の非難の声を浴びながら俺たちは抱き合うようにして教会を逃げ出したよね。
あの時、あいつのために着た豪華なドレスをその場で脱がしてしまいたかったよ。俺の眼には眩しくなんかなかったから。
真っ白なブーケは誰にも取ってもらえずに何処かに消えていった。
それから、大変だったね。
道明寺に追われて、花沢も敵に回して、それでも2人で笑って逃げたっけ。手を離すことなく、何処までも逃げたよね。
小さなホテルでも寂しい町でも、暗い部屋でも静かな夜でも・・・何も怖くなかった。
やっとまわりが静かになったのはそれから3年も経ってから。
あいつは別の女性と結婚したよ。
花沢は別のヤツが後継者になった。
俺たちにはお互いしかいなくなって、やっと追ってくるものはなくなった。
「類・・・私達は幸せだよね?」
「もちろん。牧野は幸せじゃないの?もしそうなら俺の努力が足りないんだよ。おいで・・・牧野」
合い言葉のように毎日確かめ合う言葉と身体。
だって、もう考えられないんだ。
あんたのいない世界なんて無意味に等しいから。
ねぇ・・・知ってる?俺がどのくらいあんたを好きかって。
本当はさ、あんたとこうやって抱き合ってるんじゃなくて、もう溶けて一緒に混ざってしまいたいくらいなんだ。
そのくらい離れたくない。少しでも隙間が出来たらイヤなんだ・・・どんなものでも、例え空気だって俺たちの間に入れたくないくらい。自分でも怖いくらいあんたの事が好きでたまんない。
だから、昨日の夜からあんたの事が離せなくて困ってる。
こんなに疲れさせても、まだ俺の心はあんたを求めて手放さないから。
だから、夢の中に行ってしまっても俺と身体は繋げたままで・・・俺の両腕はあんたの背中から動こうとしない。
少し狂ってるかも?なんて2人で言ったよね。
うん・・・狂ってるかも。麻薬みたいに俺はあんたを、あんたは俺を・・・狂うほどに毎日求め合ってる。
これからも傍にいるよね?なんてどうして質問するの?
そんなに不安になるなら約束しよう。神様に誓いを立てて・・・俺たちの人生は最後の日まで共にあると約束しよう。
そんなあんたに俺が質問してあげる・・・「花沢つくしになってくれますか?」
泣きながら返事をくれたあんたを再び抱き締めた・・・もう、俺たちはお互いの一部だから。
それから数日間、夢のような日々はあっという間に過ぎた。
明日は俺たちの結婚式だね。

初めて会ったときはお互いにまだあどけない学生で、あんたは三つ編みなんてして大人しく静かに学園の隅っこで生活してたよね。友達も作らなくて誰にも見られないように息を潜めるかのように。
それなのに、その生活を揺さぶってしまった俺たちのせいであんたは想像もしなかった世界を知って、それに振り回されて疲れてしまったんだよね。
何度も泣かせて、何度も怒らせて・・・それでも眩しいあんたに俺たちは全員恋をした。
俺はいつからあんたを好きだったんだろう。
今となってはもう覚えてないけど、もしかしたら初めて会ったときにもう恋をしたのかもしれない。あの非常階段で共に現実から逃げていたときに恋は始まっていたのかもね。
俺の中の小さな細胞があんたの事を好きになって、いつの間にかそれが大きくなっていって・・・気がついたら俺の細胞全部があんたを求めていたんじゃないかな。
そして今でもそれが広がり続けてて、もう誰にも止められなくなったんだよ、きっと。
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あんたは俺の親友と一番初めに恋をした。
激しくて強引なあいつに引っ張られて、その恋はあっというまに燃え上がってまわりを巻き込んで、燃えさかる炎の中で苦しむような恋をしていたよね。それを黙って見守ることしか出来なかった俺はどん底にいたよ。真っ暗で何も見えないような世界にいたよ。
あんたとあいつは婚約までした。本気だったのかな・・・それとも、俺から逃げた?
だって恋人同士になったあんた達の前で、思いっきり嫉妬してる自分を見せてしまったもんね。
あんたの笑顔が見られたらいいって思ったのは本当だったんだ。だから、認めようって思った・・・あんたの選んだ道を。
初めて涙が出たかもしれないけど、それを隠すために笑顔の練習までしてさ。嘘っぱちな応援と祝いの言葉を贈った。
あの時は安心した?それとも・・・ガッカリした?
あんたはガッカリしたんだよ。だから、最後はあいつから逃げ出して俺の腕の中に戻ってきた。
アメリカでの結婚式・・・宣誓の直前になって、あんたは掴んでいたあいつの腕を振りほどいた。そのままウエディングドレスを翻しながら真っ直ぐ俺の方に走ってきた。
今にも泣きそうな顔で、あんたの眼は俺だけを見つめてくれてた。
もう教会だったにも関わらず、招待客全員の前であいつから離れて俺の胸に飛び込んでくれた・・・それは、ホントに夢のような光景だったよ。
大勢の非難の声を浴びながら俺たちは抱き合うようにして教会を逃げ出したよね。
あの時、あいつのために着た豪華なドレスをその場で脱がしてしまいたかったよ。俺の眼には眩しくなんかなかったから。
真っ白なブーケは誰にも取ってもらえずに何処かに消えていった。
それから、大変だったね。
道明寺に追われて、花沢も敵に回して、それでも2人で笑って逃げたっけ。手を離すことなく、何処までも逃げたよね。
小さなホテルでも寂しい町でも、暗い部屋でも静かな夜でも・・・何も怖くなかった。
やっとまわりが静かになったのはそれから3年も経ってから。
あいつは別の女性と結婚したよ。
花沢は別のヤツが後継者になった。
俺たちにはお互いしかいなくなって、やっと追ってくるものはなくなった。
「類・・・私達は幸せだよね?」
「もちろん。牧野は幸せじゃないの?もしそうなら俺の努力が足りないんだよ。おいで・・・牧野」
合い言葉のように毎日確かめ合う言葉と身体。
だって、もう考えられないんだ。
あんたのいない世界なんて無意味に等しいから。
ねぇ・・・知ってる?俺がどのくらいあんたを好きかって。
本当はさ、あんたとこうやって抱き合ってるんじゃなくて、もう溶けて一緒に混ざってしまいたいくらいなんだ。
そのくらい離れたくない。少しでも隙間が出来たらイヤなんだ・・・どんなものでも、例え空気だって俺たちの間に入れたくないくらい。自分でも怖いくらいあんたの事が好きでたまんない。
だから、昨日の夜からあんたの事が離せなくて困ってる。
こんなに疲れさせても、まだ俺の心はあんたを求めて手放さないから。
だから、夢の中に行ってしまっても俺と身体は繋げたままで・・・俺の両腕はあんたの背中から動こうとしない。
少し狂ってるかも?なんて2人で言ったよね。
うん・・・狂ってるかも。麻薬みたいに俺はあんたを、あんたは俺を・・・狂うほどに毎日求め合ってる。
これからも傍にいるよね?なんてどうして質問するの?
そんなに不安になるなら約束しよう。神様に誓いを立てて・・・俺たちの人生は最後の日まで共にあると約束しよう。
そんなあんたに俺が質問してあげる・・・「花沢つくしになってくれますか?」
泣きながら返事をくれたあんたを再び抱き締めた・・・もう、俺たちはお互いの一部だから。
それから数日間、夢のような日々はあっという間に過ぎた。
明日は俺たちの結婚式だね。

新年1作目は5話の短編です。
時系列が少しややこしいかな、ごめんなさい!
連載は少し後で・・・。
時系列が少しややこしいかな、ごめんなさい!
連載は少し後で・・・。
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