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plumeria

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もうどのくらい前なんだろう。
私がこの人を運命の人だと思ったのは・・・。

親の希望っていうだけで入った英徳学園。友達もほとんど出来ず、会話にもついていけず、むしろ掛け離れた世界にうんざりして自分からバリアを張っていた。話しかけないで、そっとしておいて・・・その代わり私も何も言わないから。

そうやって毎日静かに過ごしていた。
廊下を歩くのも一番端っこで、ご飯を食べるもの1人で・・・それで良かったのよ。

「貧乏人の来る所じゃないわよ!」・・・いわれなくてもわかってるわよ。それになんの反発もしなかった。
無事に卒業して、この学校の卒業生だって履歴書に書ければいいのよ。本当にその程度の気持ちで通っていた。


それなのにひょんな事からあなた達と知り合って私の生活は一変した。

凄まじい虐めと恐ろしい出来事、ジェットコースターとはよく言ったものだわ。まさにそんな毎日で楽しいんだか悲しいんだかわからなくなっていった。
あいつの事が好きなのか嫌いなのかもよくわからなかった。すべてが複雑に絡み合ってて自分で自分の事が見えなくなって、1人になれると思って見つけた非常階段であなたと出会った。


衝撃だった。眩しかった・・・一目で恋に落ちた。栗色の髪と薄茶の瞳、まるで天使のような笑顔。


でもあなたには他に好きな人がいるんだって聞いてしまったから、悲しくて色んなところに逃げてしまった。
沢山のバイトの掛け持ちしたり、昔の友達と遊んだり・・・そんな時あいつに告白された。「お前の事が好きだ」・・・って。

あなたは好きな人がただの憧れだったって言ったよね?
その時にほんの少し私の中の悪魔が囁いたの。今のうちにぽっかり空いてしまったあなたの心に棲みついてしまえって。
でも、そんな勇気なんて持てなかった・・・あなたが綺麗すぎるから。

今までと何も変わらないあなたはいつでも優しくて、穏やかで、私の陽だまりだった。
あいつがガンガン攻めてくる中で私も調子に乗ってぎゃあぎゃあ騒いでいたけど、心の中の眼ではあなたを見ていたのよ?


あなたの気持ちが知りたかったの。
あなたに振り向いて欲しかったの。
あなただけを本当は見ていたかったの・・・なのに、あいつの激しさに負けてしまった。

時々私を切なそうに見てくれたよね?ちゃんと知っていたの。それが嬉しかった・・・もしかしたらあいつから私を奪い取ってくれるんじゃないかって思って待っていた。
狡いでしょう?本当に狡い女・・・でも、気が付いたらあいつの家から逃げ出せなくなってしまった。

あなたはそんな私にお祝いの言葉をくれたのよ。「おめでとう、幸せになりな」って。


ガッカリしたの。もう何もかもがどうでも良くなってしまったの・・・だから、アメリカに行ってしまった。


それなのにおかしいの。
アメリカでウエディングドレスを選んでもワクワクもしなくて、あいつの嬉しそうな顔を見ても表面でしか笑えないの。招待客の名簿なんて見ても全然わからない。豪華な新居に案内されても無機質な物に見えるだけで夢は見られなかった。

光り輝くダイヤモンドは悲しい光に見えて綺麗じゃない。私の眼はそのうち何も映さなくなった。

そんな私の心を感じるのかあいつはどんどんイライラしていったわ。そして何かに怯えるように式を早めてしまった。
日本からあなた達を招待して、教会のヴァージンロードを歩く自分たちを見せつけたかったのね。


その中にあなたを見つけた時、私の世界に一気に色が戻った。


あぁ、やっぱり私はあなたを求めてるんだって思った。今なら全部捨てたらあなたのところに戻れるんじゃないかって思った。
あなたも昔と変わらない瞳で私の事を見てくれた。その瞬間・・・私の心は引き戻されたの。

気が付いたらあいつの腕を振り切ってあなたの元に走っていた。
重たいドレスを引きずって、一歩あなたに近づく度に罪と夢が1つずつ増える・・・それでも構わない?それでも受け止めてくれる?
両手を広げて抱き留めてくれたあなたにしがみつくようにして、私達は教会から逃げたよね。


ごめんね、沢山の物を失わせて。
ごめんね、今までの努力を水の泡にして。
ごめんなさい・・・なんにも持っていない私しかあなたには残らなかったのね。それでも、許してくれる?



3年も経ってからやっと私達は自由になれた。
私のせいで何もかもなくしてしまったあなたは、それでもいいって毎日笑ってくれる。

「牧野・・・自由っていいね。俺、今が一番幸せかも!」

「ふふっ・・・そうなの?何もないのに?私達、今すごく生活に困ってるわよ?」

「でも毎日2人でいられるよ。それだけで何も要らない・・・牧野は何か他に必要なの?」

「ううん。類がいるから何も要らない。類・・・来て?」


手を差し出せばあなたは必ずこの手を取ってくれる。それだけで安心して眠ることが出来るの。



昨日からあなたは私を離そうとしない。
いつもは優しいのに今夜は情熱的・・・そんなに抱き締めたら私が折れてしまうんじゃないかしらって思うほど力が強かった。

どうしたの?って聞いたら好きだからって答える。
苦しいよ!って言ったら俺も苦しいって言うの・・・何が苦しいの?って聞いたら・・・離れられないからだって。

じゃあ離さなくてもいい・・・そのまま抱き締めて壊してくれていいよ。あなたの中に溶けて入ってしまうから。
溶けて1つになってしまったら、もう誰も私達を引き離せないもの。


そしてあなたが私に言ってくれた言葉・・・「花沢つくしになってくれますか?」

凄い笑顔で両手を広げて私を呼ぶの・・・泣きながら飛び込んでしまったよね。



今度は凄く待ち遠しかった。
明日は私達の結婚式だね。


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2018/01/02 (Tue) 18:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

石の上にも・・・(笑)でもそんな感じですよね!
一体何処に逃げていたのやら!見つけられない花沢がおかしくないか?って思うんですけどね。

短編の時はもう細かいところは考えないっ!
アメリカからどうやって帰ったんだ?とかね(笑)

で、そうねぇ・・・生活苦の所にはコウノトリさんは気を遣って来なかったんじゃないかな。
それか3年間寸止め(笑)拷問だよっ!!

もう、さとぴょん様っ!変な所を気にしちゃダメですよ~💦
テーマは狂おしいほどの愛ですから♥

2018/01/02 (Tue) 20:51 | EDIT | REPLY |   

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