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「い、いいか!動くなよっ!か、金だ、金を出せ!レジから金を出すんだ!」

犯人の少年は女性を離さないままレジ前のカウンターに行ってそう叫んだ。
だが事件が起きた時にはここの店員がフロアに誰もおらず、ちょうどみんな厨房に入っていて、全員裏口から逃げたようだ。
日本ではこんな時、客の命が優先って美学があるから店の責任者は名乗り出るところだけど、こっちでは逃げるが勝ち!
誰も戻っては来なかった。

少年はこんな事をしておきながら自分でも動揺しているんだろう、誰でもいいからにレジに入れ!と怒鳴り散らしていた。

要するにコイツはレジスターの開け方も調べないままこんなことしてるわけだ。なんて幼稚な犯行なんだ!
どうせやるならもっと計画立ててから・・・ってなことを考えていたら、つくしがスッと立ち上がった!

「私が行くわ・・・レジから出せばいいんでしょ?」
「はぁっ?つくし!なんて事言うんだ!そんな事して万が一撃たれたらどうすんだ!」

「え?出したら撃たないんでしょ?」

そんなバカな!どこにそんな保証があるんだよっ!
慌ててつくしの身体を両手で押さえ込んだら、それを見た花沢が総二郎と何かを話し出した。

いや、ちょっと待て!
俺はつくしが犯人の前に出ようとしたのを止めたんだからな?つくしに抱き付いたわけじゃないから!・・・勘違いすんなよ!
こんな時でも犯人じゃなくて俺の方に飛びかかってくるわけじゃないだろうな!

取り敢えずつくしを説得して座らせて、今度は翔子の肩を抱いてやった。こっちはビビりすぎて全身硬直してんだから!
いや、これが普通の反応か!あまりにも普段と違うからつくしのことも翔子のこともわかんなくなってきた!


その時、ドアの向こうから入ってきたのは総二郎と花沢だった。
誰もこの店内に入らなかったのに、いきなりの侵入者に少年はびっくりして入り口に向かって銃弾を一発ぶっ放した!
それは総二郎にも花沢にも当たらなかったけど、急に響いた発砲音は周囲の人間を恐怖に陥れた。当然この2人も・・・!

「きゃあぁーっ!きゃあぁーっ!いやぁあっ!助けてぇーーっ!」
「きゃああぁーーーっ!類に何すんのよっ!!」
「つくしっ!立ち上がるなってっ!」

俺は2人を自分の後ろに隠すようにして椅子に伏せさせた!犯人の少年はこっちを見る余裕もなく総二郎達に銃口を向けている。 周囲の客もテーブルの下に隠れたりしてるのに2人は普通に立ったまま、この少年と向かい合っていた。

「そんなに震えた手じゃ誰も撃てねぇよ!バカじゃないのか!こんなガラス張りの目立つところで強盗やっても、お前は逃げられないだろう!そういう時は犯行可能な店を選べ!・・・このドアホ!!」

総二郎・・・お前、助けるつもりで入ってきたのか?それとも挑発しようと思ってんのか!!
花沢も平然とした顔で並んでそこに立ってるけど、眼ではしっかりとつくしの方を見てる。

だから、守ってるって!!俺の全身で守ってるだろ?・・・そんな眼で睨むなっ!


「う、うるせぇよ!お、お前でいいからレジから金を抜きとれっ!!早くしろっ!」
「・・・生意気だな。この俺を指名すんのか!指名料高ぇのに・・・」

総二郎は花沢に何か目配せして、そのまま真っ直ぐレジに向かった。
レジから数枚の札を出してそれを持ってまた少年の所に戻ってきた。総二郎が札を渡そうとして手を伸ばし、少年が目線を外したその一瞬の隙を突いて花沢が少年の右腕の拳銃を足で蹴り落とした!

「うわぁっ!!何しやがるんだっ!・・・この野郎っ!」
「拳銃さえ持ってなかったらお前に勝ち目なんてないと思うけど。大人しく彼女を放したほうがいいんじゃない?」

「類っ!お前はつくしちゃんのとこに行けっ!こいつは俺が捕まえるから!」
「わかった!頼むね、総二郎」

総二郎が少年に向かってもう一度膝蹴りして、ヤツが倒れた時に捕まえられていた女性を引き離して店の外に逃げろと叫んだ!そして倒れ込んだ少年に近寄ってその手を掴もうとした時・・・いきなり少年は腰からもう一丁の拳銃を取りだして総二郎に向けて発砲した!

パーーーン!!
「きゃああああぁーっ!誰か撃たれたわっ!」
「もう一丁持ってるぞ!みんな伏せろっ!!」

それは総二郎の髪を少しだけ掠めたみたいだが、驚いた総二郎がその場に倒れ込んでしまった!

「きゃあぁぁぁーっ!総二郎お兄様っ!!お兄様が撃たれたわ!」

今度は翔子が驚いて立ち上がってしまって、それに反応した少年が俺たちのいるテーブルに向かって銃口を向けた!

「類っ!!後ろーーっ!危ないーーっ!!」
「つくし、伏せろっ!こっちに来るなっ!」
「きゃあぁーっ!いやぁあっ!総二郎お兄様がーーーっ!!」
「翔子っ、こっちに来いっ!!立つなーーーっ!!」

パーーーン!!
「きゃああああぁーっ!」
「つくし、立ち上がらないでっ・・・!!」


その銃弾に当たったのは、花沢だった・・・!

テーブルのすぐ側まで戻ってきてつくしを抱き締めようとした時、その左腕に銃弾が当たって花沢の身体はその場に倒れ込んだ!

「きゃああぁーっ!いやぁあっ!類っ!!類、しっかりしてぇっ!!」
「・・・くっ!大丈夫だから・・・つくしは怪我ない?」

初めて人に銃弾を当ててしまったんだろう、少年の方がビビってその場に座り込んで震えだした。
それを立ち上がった総二郎が思いっきり殴り倒して気絶させ、同時に数名の警察官が押し寄せてきてこの少年はあっけなく取り押さえられた。


花沢は腕を撃たれたけど掠めただけのようだ。出血はかなりあったけど、その腕の中にはつくしがすっぽり抱え込まれていた。
苦痛な顔をしながらも撃たれていない右手の方でつくしの顔を撫ででいた。

「大丈夫?すぐに病院に行くから頑張って!腕だけかしら・・・もう!無茶するんだから!」
「よく言うよ・・・俺が来なかったら、つくし、自分が金を取りに行こうとしたでしょ?見てたらわかるよ・・・痛っ・・・!」

「おーい!翔子は大丈夫か!なんか・・・気ぃ失ってないか?」


「・・・え?」

ハッとして翔子を見たら俺の腕の中で翔子は完全に気を失っていた。
さっき総二郎を気にして立ち上がったとき、びっくりして俺が翔子を抱きかかえるようにして椅子の上に伏せたんだった!
まさか、その時のショックで気絶した?俺、息できないほど抱き締めたっけ?!

「翔子っ!おい、翔子・・・翔子ーっ!」
「・・・う、ん・・・ま、こと、さん?」

「翔子?気が付いた?・・・良かった、窒息させたのかと思った・・・大丈夫?」
「・・・誠さん・・・うっ!う、うわぁーーーんっ!怖かったぁっ!!」

「はぁ?!なんだよ、怖かったの?!」

意識が戻るなり、両手を俺の首に巻き付けて、しがみついたまま翔子は大声出して泣いたんだ!
そりゃ、もうみんなが呆れてしまうぐらいの大声で・・・子供みたいにわんわん泣いて、俺から全然離れなかった。


「わかった、わかったから!もう大丈夫、犯人は捕まったし、花沢も掠り傷で全然問題ないし!総二郎も怪我1つしてないから」

翔子がこんなに泣くなんて。
いつも強い一面しか見せなくて元気でどんどん前に向かっていくイメージしかなかったのに・・・。
こんな頼りない部分もあって安心したよ。守ってやんなきゃいけない時もちゃんとあるんだね・・・翔子の髪を撫ででやりながら何度も声をかけていたらやっと泣き止んで恥ずかしそうに顔を覆った。

「怖かったね・・・俺も少し焦ったよ。翔子が撃たれたらどうしようかって」
「・・・誠さんがいたから私は大丈夫だと思ったの。でも総二郎お兄様が撃たれたと思ってびっくりして・・・」

なんだ!俺ってちゃんとそんな立場にいたんだね?
それなのにごめんな・・・ヤキモチなんて。俺は真っ赤になってる翔子を思いっきり抱き締めた!



「・・・掠り傷ってお前に言われたくない。痛いし、結構重大な問題だと思うんだけど」
「まぁまぁ・・・!とにかく命に別状ないし、いいんじゃないの?翔子にもあんな一面があったってわかっただけでも!」

「あ~あ、ご飯まだ途中だったのに・・・食べ終わってから病院じゃダメかな」
「「・・・・・・」」


いや、そこは早く行ってやれよ。お前のために飛び込んで来たんだから。
少し落ち着いてきた翔子は立ち上がってスカートについた汚れをハンカチで拭いていた。ほんの少し照れたような顔を見せてパタパタと埃を叩いた。

思い切って聞いてみようか。


「今日はどうしてそんな格好だったの?理由、あるの?」
「だって・・・こんな可愛い感じの方が誠さん、好きなのかなって・・・お友達と一緒でしょ?いつものTシャツとジーンズだったら誠さんが恥ずかしいかなって思ったの」


それって、俺のためって意味・・・だよね?




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2018/01/11 (Thu) 00:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます!!

あはははは!!
失神準備完了していたはずなのに!

初めはね、総ちゃんのほっぺたをかすったことにしようかと思ったんですけど
やっぱり顔に傷はねぇ・・・って思ってやめたんですよね!

髪の毛、お守り(笑)何のお守りになるんだろう!
誠に拾ってもらわなきゃ!

結局正解は④でした~!!でも、腕だけだし!(笑)
だってね、誠が撃たれてもぎゃーーーっ!!ってなる人少ないでしょ?
ここはやっぱり「ぎゃーーーーっ!!」って展開じゃないと!
(ん?そんなものいらんって?)

今回は番外編故、事件もこれで終り~!!
誰も萌えない、誠と翔子のラブラブでラストでーす!

2018/01/11 (Thu) 08:41 | EDIT | REPLY |   

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