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今日は総二郎の茶会の日・・・東京の天気は晴れ。気持ち良く茶会が出来るかしら・・・朝からテレビに映ってる東京の空の様子を見ながら、西門本邸の慌ただしさを想像していた。

近くで見ない方がいいのかも・・・こんな私が傍にいたらかえって総二郎に怒られるかもしれない。
夏のお茶会だから午前中には終らせるだろう。あの人はちゃんと眠ることが出来ただろうか・・・落ち着いて朝を迎えられただろうか。そればかりが気になって、朝から蒼の世話も失敗が続いた。

泣いてるのに気が付かなかったり、おむつを替えようと思ったのにミルクを温めたり、溢してしまったミルクを洗濯物で拭いてしまったり・・・自分でも溜息が出るほどのドジッぷりだった。

花沢類がそれを見てクスクス笑ってる。


「どうしたの?今日は何もかも上手くいかないみたいだね!ゆっくりしてなよ・・・牧野が慌てなくても総二郎なら大丈夫だよ」

「うん・・・わかってるんだけどね。何だか落ち着かなくて。蒼も泣いてばかりだし、嫌な予感しかしないのよ」

「蒼が泣くのは牧野の行動が可笑しいからでしょ?コーヒー入れてあげる。座ってな」

花沢類がキッチンに入ったとき電話が鳴った。


総二郎からだ・・・!

「もしもし?総二郎・・・お、お疲れ様!あの、あの・・・えっと」
『心配してくれてたのか?くくっ・・・そりゃ、悪かったな。大丈夫・・・多分、認めてもらえたと思うぜ?』

総二郎の声がいつもより明るかった。良かった・・・!茶会は成功したって事だよね?
自分が納得出来るお仕事が出来たって事だよね?思わず嬉しくて声が詰まった。


『自分でも信じられねぇけどな・・・すっげぇ緊張してた。あれだけガキの頃から点ててんだから手順とか作法とかさ、そういうものじゃなくてな。なんて言うんだろ・・・ワクワクもしてたんだ。だけどわけわかんない汗もかいてさ・・・朝起きたときは集中出来そうになくて焦ったんだ』

「総二郎が?へぇ・・・そんな事もあるんだね」

『・・・つくしがいてくれたらなってマジでそう思った。冷静になるまでに時間がかかったよ。最後の方は蒼の写真見てさ、早く帰らなきゃなって思ったんだ。なぁ・・・つくし、お前に見て欲しかったよ。今日の俺の姿・・・絶対に惚れ直したぜ?』

総二郎の声は少し震えていた。
まだ終ったばかりで興奮気味なのかもしれないね・・・私だって本当は見たかったよ。
でも、ちゃんと頭の中では思い描けてたんだよ?総二郎が以前のように凜々しく廊下を歩いて茶室に向かう所・・・格好良かったんだろうね。

声に出して支えてあげたかった・・・総二郎なら大丈夫だよって。

その時、花沢類がコトンとコーヒーカップを私の前に置いて、にっこり笑って部屋を出ていった。



『蒼・・・どうしてる?寝てんのか?』

「あはは!今日はね、蒼が被害者なのよ。私がドジばっかりするからさ・・・今はよく寝てるわ。さっきまで泣きっぱなしでね!ホントにダメなママだなぁって思ってたとこ!」

『何があったんだ?ドジって・・・何やらかしたんだよ!』

総二郎が急に声を低くしてる。
私は今朝からの失敗談を簡単に総二郎に話したら、バッカだな!って笑ってくれた。

だって・・・心配だったんだもん。
仕方ないじゃん・・・傍にいられないんだもん。その言葉は口から出せないからコーヒーと一緒に呑み込んだ。


『蒼・・・見たいな』
「うん、寝てるけどいい?待ってね」

総二郎に今日もテレビ電話で蒼を見せた。
すっかり泣き疲れて、涙の跡がくっきり見えるんだけどね・・・それでも、総二郎は「可愛い」って何度も声に出してた。

『つくし・・・蒼のこと抱けるのか?腕は大丈夫か?』
「そうね、大丈夫とは言えないかな。抱っこはやっぱり怖いの。もしもって事があったら怖いからね。だから・・・これは総二郎のためにとっておくよ。早く・・・あ、ううん・・・ごめん!」

慌てて口を抑えた!
焦らせるような事を言わないようにって思っていたのに・・・辛いのは蒼を抱けない総二郎なんだから。


『途中でやめんなよ!・・・早く帰ってやるよ。俺が蒼を抱っこしてやるから親子3人で散歩に行こうぜ?俺たちの夢・・・必ず叶えてやるから』

うんうんって・・・後はもう声にならなかった。


何度も繰り返して言ってくれる言葉・・・「愛してる」
同じように言いたいのに涙が溢れて言えなかった。泣かないって・・・いつも思っているのにね。

総二郎が笑ってる・・・泣き虫って。「そんなんじゃ俺の子どもは育てられねぇぞ!」って・・・。


電話じゃなくて・・・写真じゃなくて・・・早く肌の温かさを感じたくて涙が止まらなかった。


***********


茶会の後、俺は家元に再び呼び出された。
当然そこには家元夫人もいて2人が安堵の表情で俺を見つめた。俺にそんな優しい表情を向けるな・・・内心そう思いながらこの2人の前に座り深く礼をした。

「総二郎、今日はご苦労だったな。山城のご隠居も、東條のご当主も、みなお前の事を褒めて下さった。私としてもこれで一安心だ。明後日には正式に会見を行って、その席で千春さんの事ももう一度報告しよう。それでいいな?」

「・・・わかりました」

その時に家元夫人が重い口を開いた。

「総二郎さん・・・つくしちゃんはどうしてるの?一緒にいたのよね?あの・・・どうなっているのかしら。あの時の怪我は治ったのかしら。お医者様の話では後遺症が出るかもしれないって・・・そう聞いたんだけど、急につくしちゃんも病院から姿を消してしまったし、病院もどれだけ頼んでも何も教えてくれないし・・・」

「・・・今頃それを聞くんですね?あなたがすぐに考のマンションから病院に運んでくれればもう少し後遺症も軽かったかもしれないのに・・・気になりますか?少しはつくしの事を可哀想にと思うんですか?」

これまで家元夫人を避けてきたからこの人がつくしの事を俺に聞くことが出来なかったのもわかっていながら、俺はそんな風にこの人を責めた。
それには家元も何も言わない・・・いや、言えないだろう。
2人共が下を向いて黙ってしまった。


「つくしは随分と左手を動かせるようになりましたよ。手術は2回程行いました・・・鎌倉の病院だけでは不十分なものがありましたので。今はある程度の事は出来ます・・・でも、完治はしないでしょうね。一生傷は残るし、一生不自由な部分はあるでしょう。
考がそれをどのように考えているか・・・私はそれを思うとあいつを許すことは出来ませんね」

「総二郎、それでもお前の婚約者は千春さんだ。つくしにはそれなりの賠償を考えておる・・・もう、この件での感情は抑えることは出来まいか?千春さんにも申し訳がないだろう。半年以上も1人にさせたのだぞ?」


賠償だと?・・・そんなものをつくしが望むとでも思ってるんだろうか。それこそ思い上がりだ!あいつはそんなものは受け取らない。昔から一度でも金銭的な面で欲を出したことがあるか?あるんなら・・・それこそ考を受け入れたさ!

「昔からの和泉家との取り決めごとを一度は西門が反故にしたのだ。これ以上裏切ることは出来んだろう。まぁ、色々と彼女にも思いはあろうがこうして待ってくれておるのだからな」

「・・・そうですね。わかっています」


わかってるさ。
千春がすでに違う意味でこの家に留まっていることぐらい。
全ては明後日の会見の後・・・俺と祥兄の行動を西門がどう受け取るかって事だけだ。



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2018/01/18 (Thu) 13:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

コーヒー一杯でさとぴょん様のココロを鷲掴み♥さすが類!!
どうしてもこんな風に彼を苛めてしまう私をお許し下さい(笑)

そろそろエンドになろうかと言うときにまで彼を出す辺り、そして苛めてるし。
真面目に類君ファンに怒られますな!はっはっはっ!
でもそろそろ彼の出番もね・・・お話しがラストに近づいたので当然ですが。

うんうん、色々私を助けてくれてありがとうよ!
この向日葵では本当に困ったときの花沢類でした!!(すでに過去形)


ねー!早く3人でお散歩行ってもらいたいですね~♥
それがラストシーンだと思ったら・・・ダメよ?ふふふ。

今回の家元も家元夫人もこんな性格にしたのでつまんないです・・・(自分のせいだけど)
今度は絶対に面白い家元夫婦でお話し書こうっ!!

会見、頑張るぞー!!




2018/01/18 (Thu) 19:24 | EDIT | REPLY |   

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