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俺の名前はそういちろう。コンゴウインコの雄、年は考えたことはない。
今はやたら大きな屋敷にへんてこりんな仲間と同居中だ。こいつはほとんど話さないから楽しいとは言えないが、あの2人も幸せそうだし・・・実は中々この生活も気に入っている。

明日は懐かしいマスターに会いに行くと言っていた。
インコながらワクワクするってもんだ・・・そしてこの時、俺はもう何年も前の幼い頃の自分を思い出していた。


**


俺にまだ名前がない頃だ。
ある日、店の籠の中から出されて狭い箱の中に押し込められた。
何処に連れて行かれるのかさっぱりだけど、売り物の俺は自分で行く場所を選べない。
行った先がいい奴だったらラッキーぐらいに考えるしかない。インコなんてそんなものだと幼心に思っていた。

誰かの声がして、どうも俺は車に乗せられたようだ。
夫婦らしいってことはわかる・・・男と女の声がするから。まぁ、いい・・・どんな奴か楽しみだ。


やがて俺が箱から出されたのは小さな部屋だった。
最初に見たのは気の良さそうなおじさんと、優しそうなおばさん。テーブルの上に置かれて俺はこの部屋の中を見回した。

いいのか?こんな小さな部屋で。俺の声は自慢じゃないがデカいぞ?抑えろって言われても無理だけど?
そう思ったけどこの夫婦はやたら嬉しそうに俺の背中を撫でてる。悪い奴じゃなさそうだ・・・それならこっちも懐いてやるか。

この時俺の名前が「そういちろう」と名付けられた。


「そういちろう、おはよう!今日もいい天気だね!」

毎朝、この言葉を話しかけてくれるおばさんの声は俺の耳には心地よくて、すぐに言葉を覚えてしまった。
気に入られようと思ったわけじゃないが、ある日調子に乗って喋ってみた。

「ソ、ソウイチロウ・・・ソ、オハヨ・・・ヨウ!」

くそっ!まだ上手く話せねぇな・・・!
自分の中では悔しかったがおばさんとおじさんは凄く喜んでくれた。なんだ?・・・この喜びようは!
俺は上手く話せなくて落ち込んでるのにそんなに嬉しいのか?こんなことぐらいで?・・・人間ってのはよくわからない生き物だ!

「ねぇ、あなた!まるで子どもがいるみたいで嬉しいわね!」
「あぁ、そうだね。もっと色んな言葉を覚えるんじゃないかな。少しは気が紛れるかい?そういちろうが君の話し相手になれば俺も安心だな!楽しくなるよ、きっとね・・・」


よく聞いたらこの2人は子どもがいなくて寂しかったらしい。
なんて事だ!この俺を子ども代わりにしようってのか?そりゃ無茶ってもんだ・・・インコなんだから!

だけど仕方ない。エサもらってるし、それに毎朝顔も掻いてくれるし、とにかくこんな顔でも可愛いって言ってくれるんだからな。
だからどんどん言葉を覚えていった。
簡単じゃないんだぞ?発音しにくいもののあるんだ!だからどうしても限界があるけどな。

「ソウイチロウ、オカエリ!」

これは何故か喜ばれたから調子に乗って何度も喋った。

「ソウイチロウ、オハヨウ!」

どうもこれは朝一番に言うらしい。夜にこの言葉を出すと違うよって笑われた。
俺にもプライドはあるから笑われるのはごめんだ!今度からオハヨウ!は朝だけだと心に誓った。

「ソウイチロウ、マッテタヨ!」

これも手を叩いて褒められた。そこまで煽てなくても言って欲しいなら言ってやるよ。そんな程度でこの言葉を繰り返していた。
そのほかにも色々覚えたさ。オナカスイタ・・・これはエサの前の言葉。やたら使ってももらえないってわかったから、本当に腹が空いたときにだけ使うことにした。

ここのおばさんの名前は「サトミサン」・・・だから、時々呼んでやった。

「サトミサーン!サトミサーン!オナカスイタ!・・・サトミサーン!」
「はいはい!そういちろう、もう少し声を小さくしないとご近所から苦情がきちゃうわ!静かにね?」

「サトミサーン!・・・マッテタヨ、サトミサーン!オカエリ!」
「あはは!そういちろう、ただいま!待っててくれてありがとう!」

そうやって楽しく平和に暮らしてたんだ。
そのうちサトミサンのお腹がやたら大きくなってきて、部屋の中の様子が変わってきた。色んなものをおじさんが買ってきたり、小さな服が用意されたり。とにかく小さなものが増えてきたんだ。

俺には何が起きたかわかんなかったけど・・・暫くしたらサトミサンが帰ってこなくなった。
ご飯もおじさんがくれるし、このおじさんも帰ってくるのが遅いんだ。失礼な!・・・この俺を1人にして何処に行ってるんだ?
そんな日が数日間あって、やっとサトミサンが帰ってきた。

その手には小さな子どもが抱かれてる。


え?まさかと思うけど、子どもが生まれたのか!

インコながらにびっくりした!だって俺たちは卵から孵るから、いつの間にこんな子どもをサトミサンが持ってたのか知らねぇし!

あぁ・・・人間はあの腹の中に子ども入れてるのか!
だからサトミサンは最近腹が出てたんだな?だって今はもう出てないし。


だけどここで考えた。

俺は子ども代わりにここに来たインコだ。
子どもが生まれたって事は・・・もしかしてお払い箱ってやつか?

いやいや!こんな街の中で外に放されても俺、エサ探せないし!冗談じゃないっての!

一瞬そう思ったけど、この2人は今までと変わりなく俺の事を可愛がってくれた。子どもの所に近寄っても怒らない。
「噛んだらダメだよ?優しくしてあげてね?そういちろう」ってサトミサンが笑うから、俺はメチャクチャ子どもには優しくしたさ!

どっちかっていうと子どもの方が俺には酷かったけどな!
これも俺の方が先輩だから我慢するしかない。相手は子どもだ・・・俺は多分もうオトナだから!

何度殴られても子どもには手を出さなかったよ。
その代わりサトミサンが毎晩背中を撫ででくれて「ありがとう、そういちろう」って言ってくれた。




そんな日がどのくらい経ったかな。

初めて俺は数日間放置された。おじさんもサトミサンも子どもも帰ってこないんだ。
腹は減るし寂しいし・・・俺を置いて3人でどっかに行ったのかと思って無茶苦茶焦った。

そうしたら・・・おじさんが1人で帰ってきた。


サトミサンも子どもももう帰ってこなかった。
それがどうしてなのかさっぱりわかんなくて、俺は何度もおじさんに話しかけた。

「ソウイチロウ、マッテタヨ!」
「・・・ごめんな。ソウイチロウ、1人にして」

「ソウイチロウ、オカエリ!」
「・・・うん、ただいま、でももう俺しか戻ってこないんだ・・・ごめんな。あいつら、もう帰ってこないんだよ」

「ソウイチロウ、マッテルヨ!」
「そうだろうね。でも・・・ごめんな。あの2人はもう天国に行ってしまったんだ。そういちろう・・・ごめんな」


何が起きたんだろう。
でもおじさんが泣いて泣いて・・・俺の籠の前で泣くからさ。

それからは「サトミサン」と「オカエリ」は使わないようにしたんだ。
おじさんが泣くからさ。


暫くしておじさんは俺を喫茶店に連れて行った。

「ごめんな。ここがお前の新しい住まいだ。でも、毎日俺はここに来るし、お客さんがたくさん来るから寂しくないよ?」

まぁいいさ。インコの俺には住む場所を選ぶことは出来ないもんな。
ここの方がおじさんがいいって言うなら・・・俺はここに住むさ。


そして数ヶ月・・・いつが来たんだ。
いつものように誰かが来たらこの言葉を喋るようになっていたから、特に気にもせず俺はこいつに向かって喋った。


「イラッシャイマセ!」

「え・・・どこから?今の・・・インコの声?」

「ははは・・・いらっしゃいませ。その様子じゃ当店は初めてですか?そういちろうならそこからじゃ見えません。中にどうぞ?」



これがルイとの出会いだったな。
中々いい男だ・・・この俺の眼に止まるとは!こいつには何でかな、撫でさせてやろうと思ったんだ。

俺の生活が変わったのはルイとの出会いがあったからだ。



parrot-1975146__340.jpg
そういちろうから新年のご挨拶です♥
アケマシテオメデトウ!
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2018/01/02 (Tue) 16:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 明けましておめでとう!

えみりん様 明けましておめでとうございます。

っていうか・・・大丈夫ですか?インフルエンザじゃないの?つくしちゃんのがうつったのかな・・・。
あんまり熱出さない人が高熱になるとキツいんですよね!
私は微熱は多いけど高熱はそんなにないなぁ・・・微熱のときは逆に動きたくなる人だから。

せっかくの休暇が・・・でも、早く治して下さいね!
おせち料理も食べられなかったの?(と、言う私は現在原因不明の下痢💦抗生物質のせいかなぁ・・・)

この際休みを延長してゆっくりしましょうか?!

で、この話(笑)
ごめんなさいねぇ!こんなの急に書いちゃって!
多分、花男二次にコンゴウインコ主人公で書いた人は私ぐらいじゃなかろうか(笑)
あまりにそういちろうが印象深かったので、急に思いついてしまって・・・(笑)

調子にのって5話ぐらい書きますので、元気になったら読んで下さいね!

それではこちらこそ本年も宜しくお願いします!
お大事に~!

2018/01/02 (Tue) 17:33 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/02 (Tue) 18:50 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あはは!びっくりしました?
これだけは予告もせずに書きましてね(笑)皆様を驚かせようと思って!
出だしもね!(笑)年は考えたことはない・・・これ、お気にいり♥

中々面白くないですか?実そういちろうの口調はさりげなく総二郎に似せてるつもり(笑)
書きながら1人で無茶苦茶笑っていました。

特に「まだ上手く話せねぇな!」って所はお気に入り♥

正月早々少し切なく入りましたけど・・・サトミサンは実はさとぴょん様からいただいたお名前です(笑)
いや、お名前知らないんだけどね。

でね、「陽だまり」は類君の方が先に来始めてるんですよ。
つくしちゃんの一ヶ月前からです。

これからそういちろうから見た2人を少しだけ書いていきます!お楽しみに~!

2018/01/02 (Tue) 21:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/02 (Tue) 22:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます!

あはは!気が付きました?
何処までも類つく、総つくの女ですので(笑)
もちろん最後まで総二郎が語ってる感じでいきますからね!

あら~!惜しかったのね!残念(笑)
でも、本当にごめんなさい・・・過去の人になってしまって・・・!
妄想の世界なので許してください。さとぴょん様はバイクに気をつけてね?

そういちろうの嫁さん(笑)
了解しました!

でもさ・・・じゃあ、ハシビロコウのそうじろう(メス)にはどうする?
またアフリカから連れてくる?アキラとか?ツカサとか?
出来たらここの部分も考えていただいて、お話しを完結させたいかな・・・(笑)

このお話しは協力者さとぴょん様で決まりですね!あはは!


2018/01/03 (Wed) 09:30 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/04 (Thu) 00:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今日も飛ばしてますね?

おはようございます!
そうねぇ!中々いい名前が並んだけど(笑)
実はE様はすでに登場済みです!「独りぼっちのクリスマス」でね、使わせてもらったの。
で、私の母も実は登場済み(笑)
シスコンで出てます!えぇ、名前が考えられないので身内だろうがなんだろうが使っています!

自分かぁ・・・それもいかも!ワクワクしますね!
ハシビロコウでも(笑)

でもね・・・実はソウジロウって名前のメスですから(笑)
連れてくるのは旦那さんだったの~💦

「じゃあ、ツカサでもアキラでもいいじゃん!顔だけ見たらツカサだよね?くすっ!」
ってのが類の意見かな。

追加ネタなので今から考えるぞ~♥こう言うの好きかもっ!

2018/01/04 (Thu) 11:14 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/04 (Thu) 22:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは!

そうそう!その人です。喜んでいただきましたよ。ヤンキーの彼はスルーされたけど(笑)


「独クリ」って短縮に笑ってしまった!

子どもが小学校の時に先生が短縮語を使ってて驚いたことがあります。
計ド→計算ドリル 漢ス→漢字スキル

それを思い出しちゃった!

でね、ソウジロウは本編でもメスって書いてるの(笑)
類がそういちろうの友達で名前考えたけど、面倒くさくなって「そうじろう」にしたんです。
メスなのに・・・(笑)

だからハシビロコウには旦那様を用意しなくては!
違う意味で妄想が広がっております。

頑張りますね!この番外編のラストになるだろうけど♥

2018/01/05 (Fri) 11:33 | EDIT | REPLY |   

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