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ルイは毎朝店に来たら、テーブルに行く前に必ず俺に挨拶にくる。礼儀正しいヤツだ。
中には俺を見て嫌そうな顔をする客もいるが、この店は俺の方が優先なんだ。おじさんがそう言ってたからな。

おっと・・・ここではおじさんじゃなくて、みんながマスターって呼んでるから俺もそう呼ばなきゃな!


「そういちろう、おはよう!触ってもいい?」
「ソウイチロウ、マッテタヨ!」

こう言っちゃなんだが俺は簡単には頭を触らせたりはしねぇぜ?自分の中で認めた人間じゃないと触らせねぇ。
だから今の所はルイとマスターだ。サトミサンがもういないからな・・・これも禁句だから間違って言わないようにしないとな。

ルイは何だか朝っぱら疲れてるようだった。まぁ、人間の男にはよく見られる現象だな。
でも、人間のくせに少ししか食べねぇから気になってたんだ。こんな時なんて言えばいいんだ?って毎回思うけど喋れる言葉が少ないからさ・・・腹が空いたときの言葉はこれしか知らねぇんだよな!

「ソウイチロウ、オナカスイタ!」
「あはは!そうなんだ、ヒマワリのタネ食べる?」

違ぇよ!そうじゃなくてお前が腹空かしてんじゃねぇのかって言いたいんだよ!くっそーっ!・・・どう言えばわかるんだ?
俺が頭にきて足で自分の頭を掻いてたら、ルイまで手伝って俺の毛繕いに参加してんだ!お人好しめ・・・!


そんな時だった。
ものすごく店が暇な時間に急にやってきたヤツがいた。俺はいつも通りの挨拶をした。もう条件反射だな!

「イラッシャイマセ!イラッシャイマセ!」

入ってきたのは女だった。わりと真面目そうな・・・って言うかそんなに珍しそうに覗き込んで・・・失礼な女だな!
俺の中で女と言えばサトミサンが一番だったから、あの人を裏切るわけにはいかねぇ。
悪いが他の女には簡単に触らせねぇよ。だから知らん顔したら案の定、怒った顔を見せた。まぁ、面白そうな女だな。

これがツクシだった。

「あはは!お嬢さんはインコがお好きなのかな?その子はコンゴウインコのそういちろうって言うんだよ?男の子なんだから普通は女の子が好きだと思うだろ?どうも、そういちろうは男性が好きみたいでね・・・ごめんね?」

「え?・・・いえ、いいんです。あの、喫茶店なのにインコがいるって書いてあったから気になって見に来ただけなんです。ごめんなさい・・・何も注文しなくて。今月ピンチだから!えへへ・・・」

注文する気もないのに入ってきたって?なんて女だ!
それにこの俺が気になったって?見せもんじゃねぇんだよっ!

「もしかして、仕事探してる?良かったら・・・うちに来ない?アルバイトしてくれる人、探してるんだけど・・・」

え?また女を雇うのか?マスター・・・俺は反対だな!

「うそっ!本当ですか?私はちょうど仕事を辞めて探していたんです!でも、今日は履歴書も何も・・・」
「そんなものいらないよ!そういちろうを気に入ってくれただけで十分だよ。じゃあ、契約代わりに一杯飲んでいって?」

おいおいおい!
マスターもそういう事なら俺の意見ってものを聞いてくれよ!俺はまだそこまで気にってねぇぞ?
この世にサトミサンほど優しい女はいないと思ってるからな・・・このツクシがサトミサン以上ってまだわかんねぇじゃん!

しかも、ただで一杯飲んでけって・・・毎晩帰るときに「今日も赤字だ」って言ってなかったか?
俺も何もせずにエサもらってるから何も言えないけど、この店そんなに儲かってねぇはずだろ?マスターもお人好しだな!


ツクシは次の日から来るようになった。
遅刻もしないし、俺が嫌な顔をしても怒りながら世話はしてくれる。ヒマワリのタネもくれるけど、それを直に受け取るにはまだ早いな・・・もっと観察させてもらうからな。

そうやって数日間過ぎたけど、やっぱり今までのアルバイトと同じ。
ツクシも速攻ルイに惚れてるな?・・・まぁ、そうだろうな。ルイはここに来る客の中ではダントツだから。

だけどルイの方が興味を示さないんだよな。こいつ・・・彼女とかいるのかな?俺に話したことはないけど、俺の勘ではルイにはまだ恋人はいねぇな!いたら俺の前に連れてくるはずだから!


でも、俺はこの時気が付いてた。
ルイも時々ツクシを見てる。ツクシが下を向いてたりして顔を他に向けてるとき、さりげなくルイは見てる。

ある日、帰るときにも俺に必ず会いに来るルイが変な頼み事をしたんだ。

「ばいばい、そういちろう。また明日ね」
「バイバイ!マタアシタネ!」

「内緒の話だけどさ・・・彼女のこと、見張っててね?そういちろう」

見張る?ってツクシの事を俺が見晴るのか?いいけど・・・見るだけだぜ?インコだから。

「凄く気になるんだ・・・他の男が近づかないように見てるんだよ?もしさ、誰かが近づいたら止めてよ。わかった?」
「ソウイチロウ・・・ソウイチロウ・・・」

なんて言えばいいんだよっ!どうやって止めるんだよ、俺はここに繋がれてるんだって!無茶言うなぁ・・・。
それなら早いとこ自分のものにしろよ!ツクシだってルイのこと気に入ってると思うぜ?インコの勘だけど。

「頼んだよ?そういちろう」
「マタアシタネ!」

インコに頼むなっ!それでも男かーーっ!


***


煮え切らないまま日にちが過ぎていった。そして普段話さない2人がすっげぇ近づいた日があったんだ。
それは雨が降ってる朝だったな。

「おはよう、そういちろうさん。今日は雨だね」
「・・・・・・」
「雨だったら挨拶も無しなの?頭にくるわね!そんなんじゃ客商売は出来ないわよ?」

風邪気味のルイを心配して俺の所の窓から外を見ているツクシ・・・面倒くさいから挨拶しなかった俺に八つ当たりしてやがる!
これだから女ってのは・・・冷静になれ、冷静にっ!

その時だった。カラン・・・ って音がして、俺は咄嗟に営業活動に入った。

「イラッシャイマセ!」
「え?いっけない!いらっしゃいませ!・・・あっ!」

なんだ!ルイじゃねぇか!慌てて損した・・・驚かすなよ、ルイ・・・。

「どうしたの?そんなところから・・・そういちろうに何かあったの?」
「いっ・・・いいえ!そういちろうさんは元気です!」
「そう?じゃあ、挨拶しよっと!」

ツクシには悪いが俺の中ではまだルイの方が落ち着くんだよ。だからつい、ルイには頭を差し出してしまった。
こいつの撫で方はマジ俺のツボにハマるんだよ・・・気持ちいいんだぜ?ツクシにもそれが出来れば撫でさせてやるけどな。


「ふふっ!そういちろうは可愛いよね・・・」
「え?可愛くないですよ!私には全然挨拶しませんよ?オスのくせに男性が好きだなんて、インコでも変態っているんですよ!絶対にそうだわ・・・私には今日だっておはようも言わなければ、頭だって向けないんですよ?」

誰が変態だっ!!男が好きなんじゃねぇよ!ルイが好きなだけだ!・・・ん?やっぱり変態か?
仕方ねぇじゃん。コンゴウインコが俺1羽なんだから、恋のしようがねぇだろ?

「・・・本気で怒ってるよ?そういちろう・・・可哀相だから挨拶してやりなよ」
「ソウイチロウ・・・オハヨウ・・・」
「そういちろうは君だよ?面白いね。彼女は牧野さん、ここで毎日会ってるでしょ?」

あぁ、知ってるよ。ツクシってんだろ?そろそろ言ってやろうかとは思ってるけどな。


「あの・・・私の名前、覚えてくれたんですか?」
「だって、俺が聞いたんだよ?覚えるでしょ?あ、つくしちゃんの方が良かった?」

「い、いえ・・・つくしちゃんはちょっと・・・。友達はみんな牧野って呼び捨てなんで、さんって付けられたらくすぐったいって言うか・・・」
「そう・・・じゃあ、俺も牧野って言うね?それでいい?」


おっ!ルイがいきなりそうきたか!

随分距離が縮まったんじゃねぇの?この2人・・・これって俺のおかげじゃね?
この後、ルイがツクシにカフェラテぶっかけられたり、いくつかグラスも割ったりして騒々しかった。


大丈夫か?こいつら・・・誰かちゃんとついててやらないとくっつかねぇんじゃないの?
インコに心配されるって最悪だぜ?


macaw-parrot-2213296__340.jpg
このお話、不定期更新です(笑)
キガムイタラツブヤクネ!
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2018/01/03 (Wed) 12:42 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様 こんにちは~!

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。

あはは!年始めから色々と公開してますが、お忙しい中お読みいただいてありがとうございます。

そういちろう・・・(笑)
これだけは年が明けてから急に思いついたのですよ。
何故か人気者でしたので、つい調子に乗りました。

何話かアップしますので笑ってやっていただくとそういちろうも喜びます♥

向日葵・・・そうですね。

今が非常に暗いので少しでも正月らしく番外編を書いてみたら、切なくなりましたかねぇ(笑)
それも類君が(笑)
彼は本編でもとっても切ない状態が続いております。えぇ、クレーム続出ですよね(笑)
申し訳ないです!

mariage・・・!!

いや、そんなに司君を落とすつもりはなかったんですが(笑)結果としてそうなってますよね!
頭が完璧に類君に集中して書いたので、まわりがよく見えてなかったかも。

司君好きな方、ごめんなさいっ!!
次回の「雪の結晶」はこの「mariage]を参考に書いたので、再び司君に悲劇がきますけどね(笑)
でもmariageの方が残酷かも!ごめんよ~司君!決して嫌いとかじゃないんだよ~💦

まぁ、今年は飛ばしすぎず頑張りたいと思っています。

応援コメントありがとうございました。

2018/01/03 (Wed) 13:39 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/04 (Thu) 01:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは~!

あはは!もう、完全に遊んでますよね!
すっごく速く書けるんですよ(笑)
向日葵1話書くのと比べたら、5倍ぐらい速いかも(笑)

このままだと何話になるかわからなくなりました(笑)
いい加減にしとかないとね。

お正月の特番みたいなもんで公開しようかと思ったのにすでに連載してる自分が怖いです。

いやいや、明日ぐらいはお休みしようか・・・マジで怒られそうな気がする。
真面目な読者さんに・・・「この人、狂ったな・・・」って思われそう(笑)

と、言いながらすでに次を半分書いた私!
キーボードの上を指が滑るように動くわ~♥

2018/01/04 (Thu) 11:48 | EDIT | REPLY |   

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