FC2ブログ

plumeria

plumeria

あー・・・・・・のーんびりしてる。マジ、天国。

あのフェリーの事を思うとほんっ・・・とに天国!
風は穏やかに吹いてるし、陽は良く当たるし、人が少なくて売り上げは少ねぇだろうけど問題が起きそうにないし。


ここはマスターの田舎、長崎県の福江島だ。
数日前、地獄の移動をしてようやくここまで来て、新しい店「木漏れ日」ってのがオープンしたのは昨日だ。
まだ客なんてそんなに来なくて、モーニングってのもしていない。

マスターとツクシは昨日のオープンからもずっと片付けをしているんだ。初めに作ってくれたのが俺の止まり木ってのは流石だな。
俺が落ち着かないと仕事にならねぇって知ってるからな!

「つくしちゃん、ここのテーブルも手直しして使おうか?テーブルクロスの予備ってあったかな?」
「あっ!ありますよ?それじゃ、そこに置くメニュー表も追加で作ろうかしら。マスター、コーヒー豆って何処にしまいますか?」

「あぁ!裏に収納庫があるんだよ。俺がやるからつくしちゃんは段ボールから全部グラスを出してくれるかい?」
「はーい!じゃあお願いしますね」

オープン前に済ませとけよっ!って言いたいとこだけど、仕方ねぇよな、2人で全部やるんだから。
ごめんな・・・インコは黙って見ることしか出来ねぇで。だからせめて応援してやるよ!

「ソウイチロウ、オナカスイタ!」
「何言ってんのよっ!もうちょっと待ってて!こっちだってお腹空いてるんだから!」

しまった!言葉を間違えた・・・ガンバレって覚えたから言おうと思ったのに、つい慣れてるヤツを使ってしまった!
しかしそこまで怒るか?インコ相手に。

ルイ・・・ツクシは怒ったら意外と怖いかもよ?
これはルイが迎えに来たら言わねぇとな・・・オコッタライガイトコワイカモヨ・・・・・・長くて言えねぇや!



まぁ、なんとかかんとか言いながらここでの生活にも慣れてきたのは1ヶ月ぐらい経ってから。

俺はツクシが仕事を終えると一緒に小さな家に帰るんだ。
前と違って暗くなると酒を出すようになったから俺がいちゃ困るんだって。俺にとってもラッキーだったよ。

だからツクシの腕に乗っかって、夕日を見ながら一緒に帰る。

その時にツクシは小さな声で歌う事が多かった。あんまり小さい声だから覚えられなかったけど、一つの言葉だけは覚えた。
それは何度か聞いたことのある言葉で、マスターもサトミサンに言ってたから。

「ねぇ、どうして・・・すごくすごく好きなこと・・・ただ伝えたいだけなのに・・・」


今日もその歌を歌ってる。
もう涙なんて流さないんだけど、この歌の最後には必ず「類のこと、愛してるんだよ」って呟いてる。

ツクシの住んでる家はいくつか部屋があるんだけど使ってるのは一部屋だけ。その部屋の隅に俺の場所を作ってくれてるからそこに止まって過ごすんだ。
ツクシは1人分の飯を黙って作って静かに食べてる・・・たまに眼をやるのはルイと行った動物園のパンフレットだ。
そんなものをわざわざ壁に貼ってるんだ。

他の動物と争う気はないが、どうも俺のライバルは「笑うフクロウ」と「動かない鳥、ハシビロコウ」らしい。
俺にもよくその話をしてくれた。面白くもなかったけど。

「類がね、私の膝枕で寝たんだよ?ふふっ・・・すごく可愛い寝顔だったなぁ」
「ソウイチロウ・・・ダイスキ」

「そうね。大好きなままなら良かったな・・・今はね、類のこと、愛してるの。だから離れちゃった・・・バカだよね」


アイシテル・・・ダイスキより少しランクアップした言葉なんだろうな。



この島には色んな場所から観光客って人間が来るようだ。
そいつらはよく「木漏れ日」にやってきた。

この店は結構見晴らしがいい場所にあったからかもしれない。昼間には客が満席になることもあって、最近ではメニューも増やして2人は大忙しだった!
だから俺の仕事も大変だ!数分おきに言わなきゃいけない!

「イラッシャイマセ!イラッシャイマセ!」

イラッシャイマセの大安売りだ!俺のまわりにも噂を聞いたヤツが沢山来てカメラを向けていく。
ま、いいけどよ!この俺で良かったら何枚でも撮りゃいいじゃん!旅の記念ってヤツだろ?
調子に乗ってバンバン喋ってたらツクシによく叱られた。

「そういうろうさんっ!少し静かにしなさい!お客様に迷惑だよ?喋るのは外でっていつも言ってるよね!」
「ソウイチロウ・・・バイバイ」

俺が背中を向けたらそれも可愛いって客は手を叩いて喜んだ。
俺・・・営業に向いてるかも?



そんなある日だったよ。

都会から来たって子が数人、昼過ぎの少し暇になった時間にやってきた。
その時俺は外の止まり木に止まって日光浴してたんだ。

そこにそいつらは寄ってきて、俺の事をスマホで撮りだした。そんな事には慣れっこの俺はちょうど眠たかったから無視してた。

「ねぇ、この子、何か喋らないかな・・・喋ってるとこ撮りたいよねー!そしたらアプリで投稿できるのにね!」
「そうだね!色んな人が見てくれそうじゃない?喋らないのかな?」
「いつ喋ってもいいように準備しとこ!撮れたらすぐにアップしなきゃ!どんな人が見てくれるかな!」


何だって?俺の事を投稿するって?それを色んなヤツが見るって?
最近よく聞くヤツかな・・・俺の事がなんとか映えするからってよく撮られるんだけど。あれって色んなヤツが見られるのか!


もしかして・・・ルイが見るかも?
俺は急に元気になってそいつらに向かって喋ったよ!さぁっ!ドンドン撮ってくれ!そしてルイに向かって送ってくれ!

「ルイ、アイシテル、ルイ、ダイスキ・・・ソウイチロウ、マッテルヨ!マッテルヨ!」

「きゃあぁーっ!喋ったよっ!何か変な言葉だけど!」
「うんうん!撮れた?ちゃんと聞こえてる?」
「うわぁっ!ラッキーじゃん!さっそく投稿しよっ!」

「ルイ、アイシテル、ルイ、アイシテルヨ!・・・ソウイチロウ、マッテルヨ!マッテルヨーーっ!」

俺は半分ヤケクソで叫んだよ!


ルイ・・・俺の叫びが届いたら、ここに来いよ!
ツクシのこと、迎えに来てやれよ!毎日あんなに歌ってるぞ?ホントはルイが探してくれるの待ってるぞ?


その日、俺は喉が痛くなるほど叫んだから、次の日は喋れなかった。



でもな、奇跡ってあるんだよ。
インコだって魔法が使えるんだぜ?

俺が叫んでから数日後・・・ツクシの願いは叶ったんだ。



no-translate-detected_2649607.jpg
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/01/08 (Mon) 18:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: ナイス❗

まーこ様、今晩は!

あはは!イカしてますか?それは嬉しいわ!

思いつきで書いたら皆さんに気に入っていただけて(笑)
インコの気持ちとか普通考えませんものね!

私もまさかこんな番外編書くとは思いませんでしたよ。

でも、そろそろ本編最後の方になってきたので、この番外編も終ります。
あと何話ぐらいかなぁ・・・色んなリクエストがあるので3~4話ぐらいかしら?

うふふ!最後まで楽しんで下さいねっ♥

2018/01/08 (Mon) 22:01 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/01/10 (Wed) 00:19 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます!

あはは!賢いでしょう?
私はインスタしてないので、さりげなく子どもに聞きました(笑)
どんなことが出来るのかってね!

「お母さんとうとうインスタするん?」

って言われたから焦ってしまった!
会社の若い子に聞こうと思ったけど、ただでさえスマホ見ながらニヤニヤする変態だと
思われてるから聞けなかったし。

「一般常識として知りたいだけ」って言ったら「その年で?」って返されました(笑)

で、またとんでもない事いいますねーーっ!

えーと・・・心と身体の入れ替わり?翔子ちゃんに薬つくってもらう?(笑)
それなら出来るけど、インコのままでは無理じゃない?

だって・・・ねぇ!身体の造りが違うし、○○○○○出来ないよね?(何考えてんだ!!)

2018/01/10 (Wed) 11:05 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/01/10 (Wed) 12:38 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あのね・・・もの凄く真剣に考えていたら、衣装にビーズ付けるのに何個も余分に付けちゃったよ。

どっちも捨てがたいですねっ!
あぁっ!どうしよう・・・両方書いてみたい!

でも、これって皆さんは希望してないと思うのよ!(笑)
むしろ類つくさんは怒りそうじゃないですか?
総つくさんは・・・大きなココロで受け止めてくれそうだけど(笑)

じゃあ、総ちゃんの方で?

うわ~!!また寝るときに悩んじゃいそうっ!!(笑)

2018/01/10 (Wed) 18:05 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply