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新しい年を牧野と一緒にフランスで過ごした。

両親はパリで新年パーティーなどに忙しかったけど、俺はそれを全部キャンセルして牧野と2人、ドイツとの国境に近いアルザス地方の別荘に来ていた。もちろん両親の許可はもらってね。

新年パーティーのような大きなイベントに連れて行くのはまだ可哀想だったし、俺に余計な話を持ってこようとする連中から彼女を守りたかったから。
って、いうのが表向きの理由で本当は二人っきりが良かったからだけど。


このアルザスにあるコルマールという街は「アルザス・ワインの首都」と呼ばれている、ワイン街道の真ん中にある街だ。
パステル調の木組みの家々が並ぶ可愛らしい街だけど、今は冬・・・結構深い雪に覆われている。春になれば沢山の花に囲まれた華やかな雰囲気になるんだけど、どうしても煩い都会の中から抜け出したくて、わざわざこんな寒いところにまでやってきた。

別荘の中は暖房が効いてるから問題はないけど、外に出るのは無理・・・だから、ずっと2人で別荘の中でゆっくりしていた。


牧野が作ってくれるご飯と、小さなデザート。
暖炉の前でココアを飲みながら話す将来の夢やこれまでの苦労話。
夜にはベッドの中で牧野の寝息と寝言を聞く・・・これが本当に面白かったりするんだ。

そんな新年の休日も今日で最後っていうとき、母さんから電話が入った。

『類、いつまでのんびりしてるの?わかってるでしょうけど、つくしちゃんも明日から花沢のお仕事の研修が入ってるのよ?いい加減に戻っていらっしゃい!あなたがパーティー全部欠席するから私達、散々文句言われたのよ?もうっ!・・・自分たちだけ楽しんじゃって!』

「・・・わかってるって。これから帰り支度するとこ。牧野は花沢のどの課に配属なの?俺と同じ・・・なわけないよね?」

『馬鹿言わないで!つくしちゃんがいきなり役員秘書になんかならないわよ?彼女は約束通り花沢の食品関連会社に入ってもらうんだから、研修はヘルスケア事業部で受けるの!類がつくしちゃんと一緒にいたらあなたが仕事しないでしょ!』

「・・・まぁ、そうだね」


図星・・・でも、少し期待したのに。


「類、お母様、何だって?」
「ん?すぐに戻って来いってさ。明日から俺達、仕事だからね・・・残念!もう少し正月休みが多かったらいいのに!そうしたらもっとここでゆっくりして、もっと牧野の寝言が聞けたのに!」

「えぇっ?わ、私そんなに寝言言ってる?な、なんて?なんて喋ってるの?!可笑しなこと言ってないよね?」
「ん~っとね、昨日は『卵が割れない!』って叫んでね、その前は『頼んだチョコが届いてないじゃん!』・・・だったかな?全部お菓子に関することだったよ?でも、たまに違うときがあるけど・・・」

「へっ?違うときはなに?・・・へ、変なこと?」

「・・・『類、もうやめて』って言われたことがあるよ?意味はわかんないけど!」

そう言うと真っ赤になって殴られた!

「あはは!正直に言ったんじゃん!・・・牧野、どんな夢、見てたの?」
「し、知らないわよっ!ゆ・・・夢だもん!起きたら忘れてるもん!」

耳まで真っ赤にして背中を向けた牧野のを後ろから思いっきり抱き締めた。そしたら大声上げて騒ぐんだけど離したりしない。
ずっと抱き締めていたら牧野の方が大人しくなって、俺に身体を預けるように縋ってきた。
そして今度は俺の腕を持って逆に小さな声でボソッと呟いた。


「類・・・私みたいにお菓子しか作れないのに、花沢の中でやっていけるのかな・・・」
「心配なの?俺がいるのに?」

「だって・・・何にも出来ないんだよ?それでも会社で働ける?類の役に立つかな・・・」
「・・・牧野の仕事と俺の仕事は全然別物だよ?牧野は社員だけど、どっちかっていうと研究員・・・かな?書類見たり営業したりじゃないよ。だから大丈夫、きっと楽しいと思うよ。フランスにいるときは研修だけど、日本に帰ればお菓子作るのが仕事じゃない?」


パリのパティスリーしか経験ないもんね。怖がるのは無理ないよ・・・でも、同じ家に今度は俺がいるから。

**

パリの花沢邸に戻ったら、呆れ顔の母さんが玄関で出迎えでくれた。
牧野は恥ずかしそうに俺の後ろに隠れて、半分だけ顔を出して挨拶してる。


「やっと帰ってきたわね・・・年末から逃げて10日間、随分ゆっくり出来たでしょ?2人とも!」

「そういう言い方しないでくれる?牧野が怯えてるじゃん。仕方ないでしょ?聞いたら牧野の誕生日が12月28日だったんだよ?そんな時は2人で過ごしたいし、そうしたらすぐに新年だっただけ・・・正当な休みだよ」

「・・・つくしちゃんはまだ正式な婚約者じゃないでしょ?それをちゃんと発表しなきゃかえって色んなところから話が持ってこられるわ。今回のニューイヤーパーティーだって娘さん連れのお客様が何人来たと思ってるの?」

それは俺達のせいじゃないし。
連れてくるのも勝手だし、万が一俺がいたとしても相手にはしないからその方が嫌なんじゃないの?こういう話題は牧野が気にするから目の前ではしたくなかったのに、お構いなしに話してくるからジロッと睨んでしまった。


「類、そんな目で睨まないで!私達は反対してないでしょ?・・・だからね、もう紹介しちゃいましょう!」
「「はぁっ?!」」

「いいわね?今度の土曜にホテルでつくしちゃんのお披露目パーティーするわよ?類はそれまでにワルツが踊れるようにつくしちゃんに特訓してちょうだい。つくしちゃんはすぐにドレス選びとパーティーマナー、それにエステにも行くわよ?まずはお肌と髪ののお手入れからね!」

それだけ言うとくるっと向きを変えて自分の部屋に戻っていった。
牧野は茫然としてその姿を見てるし。


「クスッ・・・仕方ないね。じゃあ、今夜からダンスの特訓だね!」
「・・・踊れると思ってるの?」

「まさか!だから特訓なんじゃない。実は俺も苦手・・・今まで相手がいなかったからね・・・」

こんなに楽しい新年って初めてかも。
それに今年の2月のイベントにはとっておきのプレゼントをしたいからね。


知ってる?フランスでは男性から女性に贈るんだよ?



2valentines-day-1182240__340.jpg
それでは類君のバレンタインストーリーです。
こちらもJoyeuse fête de Noëlの続編になります。
エンドは・・・2月14日です♥(多分)

その後の二人を楽しんでいただけたら嬉しいです。
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2018/02/03 (Sat) 11:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは!

そうそう、すっごく可愛い街なんですよ。春なら・・・ですけど。
たしか今に時期はとんでもない雪の世界。これはこの話の類の作戦です。
何処にも出て行けない街を選んでるんですよ。

簡単にいえばつくしちゃん軟禁状態を作ってるんですねぇ~♥怖いですねぇ~!
ちなみに・・・このお話しにはご希望のオプションはついておりません。
ひたすら可愛くいきたいと思っております♥

我儘な類君をごゆっくりお楽しみ下さい。


2018/02/03 (Sat) 15:06 | EDIT | REPLY |   

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