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<side花沢夫人>
「・・・と言うことで牧野さんにシェルブールで開催されるデザートのコンテストにスタッフとして参加していただこうかと思いまして。いかかでしょう?ご本人は行く気満々でしたけど、専務のご婚約者ですから花沢家の許可をいただこうかと・・・」

「そうなのよね。私はいいと思うのよ?ただねぇ・・・」
「類様ですか?」

クスクス笑うヘルスケア事業部の渡辺主任。すでに類がつくしちゃんに夢中なのは社内にバレバレなのよね。

ホントに困った息子だこと!つくしちゃんの初出勤も結局覗き見してたし、お昼は専務執務室に呼びつけるし、つくしちゃんに話しかけた男性社員はチェックするし。
大きな仕事でもさせようかと思うけど、今の状態じゃ不安なのよね~!だからニースで類にも勉強してもらおうと思ってるのに!

他の社員に示しがつかないわ。こりゃ早く結婚でもさせないと落ち着かなくて逆に困るわね。


「そこを何とか副社長からご説得下さいませ。彼女のように才能があって日本でも専門の職人になりたいと思っているのならいい勉強になると思いますよ?専務もバレンタインは毎年来ますからと・・・お願いしますね、副社長」

「はいはい!わかりました。なんとか言い聞かせましょう!」


・・・って言ってはみたものの、類のことだから何かやりそうで怖いわね。変な事考えなきゃいいけど。ドタキャンとか現地逃走とか平気でやりそうだわ!でも、あの子にあれだけ情熱的な一面があるとは思わなかった。恋は人を変えるのねぇ・・・。

なんて事を考えながら執務室でコーヒーを飲んでいたら秘書が来客を知らせてきた。
馴染みの宝石商のオーナー・・・頼んでいたネックレスのクリーニングが出来たって事ね?ついでに何か1つ、つくしちゃんに買ってあげようかしら、なんて思って部屋に入ることを許可した。


「これは奥様、お久しぶりでございますね。ご依頼のネックレスが仕上がりましたのでお持ち致しました」

「ご苦労様!ねぇ、最近どんなものが人気なの?若い娘さんにひとつプレゼントしたいんだけど」

「若い娘さん?類様のお相手の方ですか?今度は奥様から贈り物ですか?」

「今度?今度はってなに?類が何か頼んだの?」


オーナーに聞いたら類はバレンタインにつくしちゃんに渡したくてペアの指輪を購入したとのこと・・・それであれだけ無理を言ってたのね?その指輪ををモン=サン=ミシェルで渡したかったのかしら!

「なんでもお二人の誕生石らしいのですよ。特にお嬢様に差し上げる指輪には類様の拘りがあるようでして。お相手の方の誕生石を守るように類様の誕生石がその石を取り巻いてましてね、ははは!素敵な恋をされているんですねぇ!」

「・・・毎日見てる方が疲れるんですけどね。それならいいわ。私はまた今度プレゼントするからその時はお願いね」
「いつもありがとうございます。それでは・・・」


オーナーが出て行った後、この前の必死なあの子の顔が頭に浮かんできた。
クスッ・・・そんなことばっかり考えてたのね?可愛いじゃない、類ったら!


*********


屋敷の厨房で牧野が何か一生懸命作ってる・・・俺はそれを以前と変わらず後ろの方の椅子に座って見ていた。
何を作っているかと言えば、俺のために作る苺入りのビターチョコで作るロールケーキだとか。
それを練習のために作ってるんだって。

それよりもコンテストの方を諦めてくれないだろうかとそればっかりを考えていた。だって牧野が出るんじゃないんだよ?

でもあんなに嬉しそうに話されたら何も言えなかった。
それにしばらくの間、お菓子の世界から引き離すのは俺みたいなもんだから・・・研究じゃなくて自分の好きなものを作りたいっていう牧野の気持ちもわかってあげないといけないのかもしれない。

諦めがつかないんだけど仕方なく自分のスケジュールのことも伝えることにした。


「・・・実はさ、牧野に言ってなかったんだけど俺も来週パリにいないんだよね。12日からニースに出張だってさ。父さんの命令で断わられなくて行くことが決まったんだよね」

「えっ!そうなの?いつまでいないの?」
「12日から16日まで・・・」

「あら、じゃあこのケーキは16日の夜に食べられるように作ればいいかしら?なーんだ・・・どっちにしてもモン=サン=ミシェルには行けなかったんだ・・・残念だね。日本に帰るまでには一度くらい行ける?楽しみにしてたから行きたいなぁ・・・」


そう言いながらも牧野の手は止まらない。
それは俺のため?それとも作りたくてしょうがないの?大事な話はさ、眼を見てして欲しいんだけど。

自分が子供っぽいことを言ってるのはわかってる。牧野が俺の事を思って作ってくれてるのもわかってる・・・だけどホントに渡したかったんだよね・・・14日にあの指輪。

なんかすごい脱力感・・・牧野が楽しそうに作ってる後ろで作業台の上に突っ伏してしまった。


「類・・・ごめんね?先に黙って決めちゃって・・・寂しいね、12日と13日・・・ここで私1人になるんだね」
「・・・牧野がシェルブールに行くって言う前はニースに連れて行こうと思ってた。だってひとりに出来ないからさ・・・」

「16日の夜には会えるよ?私は早く帰って準備しておくから、類も急いで帰ってきてね?」
「ん・・・わかった。電話は必ず毎日だからね?」


まぁ、いいか。
牧野のケーキも指輪も帰ってからで。
ほんの少し楽しみが伸びるだけだよね・・・でも、やっぱり悔しくてこの日も牧野を離すことが出来なかったけど・・・。


**********


<side花沢夫人>
類がつくしちゃんと厨房に入り浸ってるとき、この子の部屋に入った。

類が大事なものをしまう引き出しは昔から決まってるのよね。そこを開けたら確かに綺麗に包まれた小箱があった。
この大きさだと中には2つ並んでるのね?どんなものか見たいけど、それは2人のものですもの・・・余計なことなしないでおきましょう。類のことだからすごく注文つけて作ったんでしょうね。


クスッ・・・仕方がないわね。

渡辺主任にもつくしちゃんにも悪いけど、もう一度私が一肌脱いであげるわね!
14日、類に素敵なバレンタインをプレゼントするわ。


楽しみだこと!
でもちょっと悔しいな・・・類が私より他の女性に夢中になるなんて・・・ね。


その引き出しをそっと閉めて、類の部屋を出た。
2階の厨房から聞こえてくる楽しそうな2人の声。この家にこんな明るい声が響くことに嬉しさと、ほんの少しの寂しさを感じながら私は自分の部屋に戻った。




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2018/02/10 (Sat) 23:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

このお母さんも中々可愛いでしょ?
こういうキャラにすると書きやすくて好きです。

どんなことをするんでしょうね(笑)

誕生石・・・私、1月なのでガーネットなんですが、あんまり可愛いもんじゃないんですよね。
濃い赤でしょ?ってか、茶色っぽい赤が多いんですよね・・・持ってるけどあんまり好きになれません。

ダイヤとか真珠だったら良かったのになぁ!
類君のアクアマリンは似合ってる気がする・・・はっ!私坊ちゃんと同じだ。

2018/02/11 (Sun) 12:28 | EDIT | REPLY |   

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