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予定通りの時間に大量のワインを抱えて西門さんと美作さんがマンションにやってきた。

玄関まで迎えに行ったのは類。急に抱き付かれちゃいけないからって私はリビングでテーブルに料理を並べて待っていた。
賑やかで懐かしい声が聞こえてきて少しドキドキする。多少は可愛くしてるつもりだけど可笑しくないかな?なんて自分のことをすぐ側の鏡で確かめたりして。


「久しぶりだなーっ!牧野、お前全然変わってないじゃん!」
「ホントだ、成長してないなぁ!少しは女らしくなったのか?あ・・・なってるか。ここにいるんじゃな!」

「あーっ!な、なんて言い方するのよ!美作さんったら・・・最低っ!あ、うわぁっ!」

類の警戒も虚しく西門さんにいきなり正面からガシッと抱きつかれて思わず悲鳴をあげてしまった!

「ちょ、ちょっと何すんのよっ!西門さんっ!」
「少しは成長したかと思って確かめたんじゃん!・・・ダメだ、あきら、こいつ成長してねぇや!」

「何してんのさっ!総二郎離れなよ!」
「あっはは!総二郎、そのくらいでやめとけよ?類がキレるぞ?」

「なんて人なの!そっちこそ何の進歩もないじゃないの!」

いきなり抱き付くから胸が西門さんの身体に当たったじゃない!
首元を掴まれて引き離された西門さんは涙を流して笑ってたけど、類の方はすっごく冷たい目で睨んでる。このままお開きになるんじゃないかって心配になるほどだった。

「もうっ・・・いいから座ってよ!えっと、もうこれで全部かしら。類、お皿とフォークとか揃ってる?」
「ん?ちゃんと揃ってるよ。あ、牧野、グラス足りない。何処にあったっけ・・・俺が出すよ」

「そう?グラスは食器棚の左側。今日ね、類の好きなドレッシング作ったんだよ?出しとくね!」
「ホント?あれ、美味しいんだよね!」



「上手くいってんだな・・・お前達」

そう言ったのは西門さん。

へっ?って顔して類とリビングの方に顔を向けたら、2人がニヤニヤしながらこっちを見ていた。
美作さんもクスクス笑いながらワインコルクを開けていたし、西門さんはテーブルに頬杖ついてウインクなんてして!

「茶化さなくてもいいじゃん。牧野が恥ずかしがるからやめてよね」
「・・・じゃ、食べようか!ねっ!」

顔を合わせるのは1年ぶりだけど、私の卒業記念パーティーの時はほとんど喋ることはなかった。私も道明寺の前で緊張してたし、類はあまり機嫌が良くなかったし、この2人は私達の間に入ってどうしていいか迷ってるみたいだったし。
だからこうやって話すのは2年ぶりになる。

だから私もこの2人の2年間の話を聞いてみたかった。


「美作さんは今、何してるの?」

「俺?美作の営業企画に所属してて一般社員と一緒に一社員でやってるよ。うちは類んとこみたいに後継者って言っても特別扱いがないんだよなー。でも、若い連中と楽しんでるけどな!」
「若い連中って・・・あきら、その中でも若い方でしょ?」

「あっはは!そうだな、1番若いわ!」
「相変わらずだねぇっ!今回は日本でお仕事なの?」

「・・・あぁ、まぁな」

一瞬、美作さんの声のトーンが下がった?


「西門さんは?真面目に茶道やってんの?」

「当たり前だろ?もう親父がサボりだしたから俺に亭主が回ってくることが多くなって堪んねぇよ!ろくに休みもねぇし、地方には若いからってすぐ行かされるし!この前も日帰りで札幌だったんだぜ?冗談じゃねぇよ!」

テーブルの上の料理がお喋りのしすぎで全然減らない。仕方がないから一度片付けて新しいワインとおつまみの用意をした。
私が作った小鉢やオードブルを並べると「貧乏食」って昔の言い方をしながら、それでも美味いって言って食べていた。



「牧野は?お前はどうしてたんだよ。この1年間・・・そろそろ話さねぇのか?自分の口でさ」

「・・・え?私の、1年間?」

西門さんの一言にワイングラスが止まった。
類は特に何も言わないで私の横に座っていた・・・さりげなく2人に見えない所で繋がれた手をギュッと強く握られたけど・・・。


「うん、もうバレてるからいいんだけどね。実はさ・・・」

ここで2人にもアメリカでの暮らしのことを話して、自分から道明寺を出てきたことを話した。彼との生活のことも、道明寺家から受けた仕打ちも、1人で何をしてきたかも。
そして戻ってきてから偶然類と再会して、恋を再確認して・・・今は2人で暮らしていることを話すと納得はしてくれた。


「だけどさ、司は?あいつと話せてねぇのに、それって婚約解消したことになるのか?」

「どうだろう。でもね私が日本に戻るって言っても、あいつ・・・何も言ってこなかったの。電話もメールも何1つなかったよ。それってわかったってことじゃないの?もし、許せないなら許せないって言ってくるでしょ?」

「相手は司だぜ?常識の通用するヤツじゃねぇし、俺様論があるからな。あいつから直接「わかった」って言葉を聞いてないなら絶対に牧野の前に来ると思うけど?・・・類はわかってるんだろ?わかっててこんな事してんだよな?」

類は黙ってワインを口に運ぶ。
西門さんの問いかけに答えようとはしなかったけど、それが逆に西門さんの言ってることを肯定しているようで少し怖かった。


「司・・・多分、日本に戻ってくるぞ。来週にでも」

次にビクッとする言葉を出したのは美作さん・・・これには類も顔を上げた。

「やっぱりそうか・・・あきら、今回戻ってきたこっちでの仕事って海底資源開発ってやつだよね?」

「まぁな。共同事業社一覧のトップに道明寺があった。そこに記載されていたプロジェクト責任者は司だったから。美作の責任者は俺の上司だけど、親父の計らいで補佐としてつくために戻ってきたんだ。来週の金曜には全体会議がある。おそらくだけど、その数日前には日本に帰国するんじゃないかな・・・これに花沢は入ってなかったな」

「そうだね・・・少しこっちの人間が弛んでたから。そのおかげで戻って来れたんだけど」


道明寺が日本に帰ってくる?
あいつが戻ってくる?私の前に・・・まさか、もう知ってる?

自分の身体が小刻みに震えてるのがわかる。
何が恐怖かって・・・またあの孤独の中に引き戻されそうな気がする。誰とも会わない、話さない、あの毎日を私に強要するんだろうか。

それよりも類に何かしたらどうしよう。
以前もやったことがあるわ。自分の思い通りにならなかった相手の家を攻撃して会社を倒産寸前にまで追い詰めた。

花沢物産が潰されるようなことはないだろうけど、それでも怒ったら何をするかわからない。それほどあいつが機嫌を損ねたら手がつけられないって、この人達は知っている。


「別に来たらいいんじゃない?話がしたいならさせてあげる。ただし、俺の目の前でね」
「類、そんなに簡単なヤツじゃないわ!あなたに何かあったら・・・!」

「俺に手出しなんてしないよ。心配いらない・・・牧野はここにいたらいいよ。何処にも逃げないでここにいればいい」

類は2人がいる目の前で私の肩を抱き寄せて髪にキスをする・・・私もつい、類の肩に頭を乗せて涙を拭った。
「守ってあげるよ」っていう類の声にうんうんと頷く事しか出来なかった。
私はいつかこういう日が来るんじゃないかって恐れていた。どうしてあの時、話し合って別れなかったんだろうと後悔するばかりで・・・。

「いいんだって。牧野が1日でも早く自由になれたことの方が良かったんだよ?それにあの時帰らなかったら、俺達は再会してなかったかもだよ?」
「うん。そう、だよね。ごめんね、類・・・」



「俺達が帰ってからにしてくれねぇか?・・・おい!」


無茶苦茶不機嫌な西門さんの声が聞こえたような、聞こえなかったような・・・。



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2018/02/06 (Tue) 13:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あはは!2人の前で・・・いや、どうかしら。この類君はわかりませんよ?
やっちゃうかもよ?

成長確認ハグ(笑)
そういうネーミングなのね?これ書いた後に向日葵書いたら切なくなったわー・・・。
あきらだったら身体検査しそうですよね!すっごい真面目な顔して!

バストじゃなくて胸囲だ!つくしちゃん・・・どのくらいのサイズなんだろう?

そのCM懐かしいですねぇ!
しかも当たってる!私の中の設定はその車です!

ダックスフンド、フェラーリ、レクサス・・・え?私は軽ですけど、何か?



2018/02/06 (Tue) 22:58 | EDIT | REPLY |   

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