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plumeria

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類と偶然再会してからは花沢のお屋敷に帰った。
全然類が離してくれなくて、ちょっとでも姿が見えないと大騒ぎをするんだから・・・!

「ねぇ、牧野。早くアパート引き払ってここに住んで?もう一つ帰る家があると思うと心配だから」

「は?何が心配なの?っていうか、あれからずっとここに居るけど?」

朝は当然一緒に家を出るし、仕事が終わるともう花沢の運転手さんが店の前に立ってるんだもん。
断ることも出来なくて毎日ここに帰ってくる始末。

そうなのよね・・・

普通は自分のものがないと困るんだけど、類は全部揃えてくれてるから困らないのよ。
まだ、あれから一週間だけど類の部屋の隣はもう私用のお部屋になってて、すごい数の洋服からバッグや靴・・・
ベッドもソファーも全部運ばれてて、びっくりして声が出なかったっけ。

「類、私はもうどこにも行かないから、そんなに心配しなくてもいいよ?
仕事帰りも自分で帰れるから運転手さんに悪いよ。ここの家に勤めてるわけでしょ?私は花沢じゃないし・・・」

「どうしてそんな風にいうのさ。婚約者なんだから当たり前だろ?」

だから・・・そんな破壊力のある笑顔で言わないで・・・。
5年ぶりなんだから、まだ慣れないっていうか照れるっていうか。


「5年間・・・」


「え?」

「5年間、色んな事考えたんだ。もし、会えたらあれをしようとか、ここに行こうとか・・・
一緒に買い物にも行きたい。旅行にも行きたいし、あんたの料理も食べたいって」

類・・・そんな事を、フランスで?

「本当に後悔したんだ、黙って行ったことを。あきらにもそう言われたよ。俺が言わなかったせいだって・・・」

あきらが?フランスに行ったの?
私はそんな事も知らずに、あのマンションを黙って出てきた。
置き手紙一つだけで。


「牧野、言ったでしょ?つまんない人生でもその中から素敵なものがきっと見つかるって。
でも、やっぱりフランスじゃ見つからなかったよ。あの日・・・車の中で牧野を見つけた時、
俺の宝物はやっぱりあんただって思ったんだ」

「私も・・・いつも類を探したよ?でも、手が届かないから・・・せめて会社の近くで、類を感じていたくて。
ちょうどあのお店が店員を募集してたからすぐに決めたの。でも・・・怖かった」

「怖い?」

「うん。もしも・・・類が奥さんみたいな女性と歩いてるのを見てしまったらどうしようって・・・おかしいでしょ?」

毎日、祈るように花沢のビルを見ていたっけ。
あの会社が類のいる世界だって、もしかしたらいつか会えるかもって。
私はここにいるよって・・・・・・心の中で呼んでいた。


****


「牧野、これから先はその心も身体も全部俺に預けて欲しい。絶対にあんたを守るし泣かせたりしないから・・・」

5年間の空白はきっとすぐに埋まるだろう。
こうやって手の中に牧野を入れておくだけで・・・フランスでの悲しかった日々も薄らいでいく。


「類・・・ごめんね?」

「それはもう言うなって言ったろ?ちょっとした寄り道だよ」

ほら!泣かないで。
牧野の瞼にキスをする。
涙なんて俺が拭ってあげるから・・・

「これから、牧野といるために仕事するって決めたんだ。俺はこの家から出ることは出来ないだろうけど、
牧野といるために何をしたらいいかをフランスで学んだよ。だからさ、牧野も同じ思いでいて?
俺といるためにここで何をするか・・・急がなくていいからこの世界に慣れて欲しい」

「私に出来るかな・・・」

「大丈夫だよ。1人じゃないでしょ?」

困ったような顔しないで?
いつでも笑ったあんたでいて欲しいから。
出会ったときのあの太陽のような笑顔は、これからもずっと俺だけのもの。



「ね?だから明日はアパートを出よ?」

「・・・・・・」

住む所なんて一つあればいいよ。
部屋だってホントは一つでいいんだけど執事が五月蠅いから作っただけ。

もう出会ってしまったら・・・手を離すことなんて出来ない。


「類・・・大好き・・・」

「俺は愛してるよ・・・俺の勝ちだね?」



溶けるようなキスをして・・・
幸せな夜になる・・・。

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