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大学の卒業式前、こんな季節なのにあいつらは全員海外に研修とやらで行きやがった。
日本に残ったのは俺1人・・・別に子供じゃあるまいし寂しいってわけじゃない。ただ、何をしても面白くはない。
大学に来るのも教授に頼まれた資料作りの手伝いみたいなもんで、自分の講義なんてものはもう何もないし。

面倒くさくて喧しかった司も、何も話さないけどいつもそこら辺に寝転んでた類も、ガキの頃から連んでいたあきらもいなくなった。

まぁ、今だけだからな・・・卒業式にはあいつらも帰ってくる。
だけどその後はまたわかんねぇ。俺だけはここに残るって決まってるけど。

家族よりも近くにいたヤツらだ。やっぱりこんなにつまんねぇのは・・・寂しいのかな。柄にもなく・・・。


「何やってんのよ、西門さん。そんなにシケた顔して!いい男が台無しじゃん?」
「・・・牧野か!うるせぇよ、放っとけ!」

「初めから放ってるわよ。西門さん相手にしてたら疲れるもん。喧嘩しか吹っ掛けないし!」
「わかってるならさっさと消えろ!鬱陶しいヤツだな・・・!」

「はいはい!いやーね、男のヒステリーは!」

急にラウンジの下から声をかけてきたのは牧野。
あれだけ俺達と一緒になって馬鹿騒ぎしてたのにこいつだけは今でも元気だ・・・女ってのはそんなもんか?
司の事が好きじゃなかったのかよ!類とはべったりくっついてたじゃねぇか!あきらには毎回慰めてもらったクセに!

俺にだけは毎回悪態つきやがって・・・こっちの気持ちなんて知らねぇで!
あいつらと一緒にいるお前を見るのがどれだけムカついたと思ってんだ?この鈍感女!

あいつらがいなくなってもそんなに気にならねぇのか?毎日がつまんねぇってことはないのかよ。
その程度の存在・・・じゃなかっただろう?

牧野の方を見たら黒髪を揺らしながら教室の方に歩いて行った。


次の日も教授の手伝いが終ったら何もすることがなくてラウンジにいた。自分のコートを上から被せて俯せでソファーに寝転がって時間が過ぎるのを待っていた。
ここなら誰も邪魔しに来ないし、家に帰っても面倒くさい仕事を言われるだけで気分が悪い。
夕方になるまでのんびりしとくか、それとも久しぶりにどっかの店に遊びに行くか・・・それも1人じゃ面白くも何ともねぇ。

そんなことを考えながら時間を潰していた。

暫くしたらガバッ!とコートを取られたかと思ったら、バシッ!と背中を叩かれた!

「何しやがんだっ!!誰だ、いきなりこの俺に!・・・って、牧野かっ!」
「あはは!油断してたねぇ!近づいたのもわかんなかったの?そんなところで寝てたら風邪引くと思ってさ、プレゼントだよ!」

「は?何がプレゼントだよ!ふざけんな!!」
「やだやだ、今日も機嫌が悪いよ、この人。いい加減落ち込むのもやめなよ、仕方ないじゃん」

「落ち込んでるわけじゃねぇ!お前に心配されなくても俺だって春からは遊んでられねぇから、今ゆっくりしてるだけだ。お前と違って俺はこの先の方が大変なんだよ!邪魔すんな!」


「・・・たった2ヶ月ぐらいでしょ?1人になるの。来年の私なんかまるっと1年だよ?」


ハッとして牧野の顔を見た。
泣いてはいないけど泣きそうな笑顔・・・その言葉を残して牧野はラウンジの階段を降りていった。

そうか、あいつはいつも俺達といたから友達がすっげぇ少ないんだった。
って言うか俺達があいつに友達が出来ないような雰囲気を作ってしまったんだったな・・・だから、牧野もいつも1人だった。
あいつらがいなくなって、俺がここに1人でいるようになって、牧野は機嫌の悪い俺から遠ざかっていつも1人だった。


「あれ、何だこれ!熱っ・・・!」

ソファーに座ってたらヤケに背中が熱くなって、手を回したらセーターに何か貼られてた。
これって・・・貼るカイロってやつかっ!あの野郎、この俺にカイロなんか貼り付けやがったな・・・!

くくっ・・・!でも、何故かこれが腹が立つというより可笑しくて、1人で口を押さえて笑ってしまった。
俺が1人で退屈そうにしてるのがそんなに悲惨だったのか?そんなに寒そうに見えたのか?・・・牧野に心配されるようじゃ俺も落ちぶれたもんだな!


俺はコートを羽織って急いで牧野の後を追いかけた。

あいつは次の講義のために新館の方に向かってて、今日もやっぱり1人だ。
今日ぐらいサボっても構わねぇだろ?なんて事を考えて牧野の後ろまで行って声をかけた。


「牧野!・・・飯食いに行こうぜ!」

ピタッと止まったけど振り向かない。俺に背中を向けたまま返事をしてきた。

「何言ってんの?もう一つ講義があんのよ!西門さんと違って皆勤賞なの。私はサボらないわよ」
「皆勤賞なんて誰も褒めないって!それよりも美味いもん食いに行こうぜ?俺の奢りで!」

「だから!これが終らないとお昼ご飯に行けないんだって!」
「強情だな。ほら、行くぞ!俺の機嫌のいいうちに・・・・・・え?」

牧野の腕を引っ張って俺の方に顔を向けさせたら、こいつ・・・泣いてたんだ。


「な、何だよ。どうしたんだよ!俺が何か悪いこと言ったのかよ!」
「・・・言ってないよ。でもさ・・・でも、私が大学にいる事、全然気がつかなかったでしょ?」

「は?忘れちゃいないけど?・・・ってか、お前の方が俺にちょっかい出してんじゃねぇか!」
「そうしなきゃ気がついてもらえないんだもん!私だって近くにいたのにさ、他の国にいっちゃったあの人達のことばっかり考えてたじゃん!何よ・・・私のこと、鈍感って言い続けてさ・・・あんただって十分鈍感だよっ!」

牧野は俺の手を振り払ってまた新館の方に向かってズンズン歩いて行った。


なんだ・・・マジかよ!・・・・・・俺が鈍感?お前わかりにくすぎるんだよ!


もう一度牧野の後ろまで行ってピッタリくっついて歩いた。
鼻なんか擦っちゃって色気もクソもねぇじゃん!化粧も下手くそだし着てる服も子供だし、俺の好みなんてなに1つ押さえてないくせに!


「な・・・飯食いに行こうぜ?」
「やだ!講義の方が大事だもん!」

「俺は飯の方が大事だけど」
「嘘ばっかり!身体にいいものなんて食べてないじゃん。好き嫌いだって激しいし!」

「好きな奴しか誘わねぇけど?」
「・・・えっ?」


「行こうぜ、飯食いに!こっちに残った寂しい者同士・・・だろ?」
「私は寂しくなかったもん・・・西門さんいるし」


まだ手を差し出すのも、肩を抱いてやるのも小っ恥ずかしいから・・・この俺が隣を歩くだけ、だなんて笑えるな。



春になったらあいつらは帰ってくるけど、またすぐに日本を出て行くだろう。
俺も卒業したらこんな時間は持てなくなるだろう。

だけど、お前を1人にさせないように出来るのはもう俺しかいねぇもんな。


だから、春になったら・・・
桜が咲く頃になったら、きちんと言葉にしてやるよ。


春になったら・・・な。




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柄にもなく照れ屋な総ちゃんでした♥
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Comments 4

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2018/01/29 (Mon) 13:03 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは!

そうそう(笑)

書きながら思いました。

何で春なん?
なんで今言わんの?言えばいいじゃん!って感じですよね!

照れてるんですよ・・・あの総ちゃんが!
って言うより、向日葵のせいで違う総ちゃんが書きたかったの!実はそれだけなんです!(笑)

オカメインコ・・・ストーブの前で焼き鳥寸前です。

私?私は元気ですけど、1人暮らしの子供がダウンしたようです。
インフルエンザじゃなかったけど、アパートで寝込んでます。ちょい心配💦

お気遣いいただきありがとうございます。
さとぴょん様も気をつけて下さいね。

2018/01/29 (Mon) 16:44 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/30 (Tue) 10:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

心配ですけど、マスクしながら踊ってるようです。
本番が近いので休めないんですって。

バカがつくほど好きなんでしょうね・・・。

バレエバカ・・・ブログバカ・・・バカな親子(笑)

2018/01/30 (Tue) 19:06 | EDIT | REPLY |   

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