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plumeria

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私の首に手を回している道明寺の腕を私の手がグッと掴んだ。
もっと・・・もっと力を入れろと催促するかのように。

道明寺は驚いた顔のまま少し喉の真ん中を押さえ込んだ。でも・・・急に彼の方が苦しそうな顔になって、またその手の力を緩めてしまう。

「牧野・・・俺は・・・!」
「いいから!!もういいんだって・・・もうこれ以上は嫌なのよっ!もう花沢類を苦しめたくないの!」

「・・・・・・!!」

私が類を苦しめたくないといった言葉が一瞬道明寺の怒りに火をつけたのかもしれない。それまでは私が道明寺の手を持って自分の首に当てていたのに今度は道明寺の方が力を入れてきた!

さっきよりも強く、道明寺の指が私の首に食い込んでいく・・・少し気が遠くなっていって頭が痺れてきた。
それでも力を緩めない・・・私はこれで楽になるんだって・・・瞬間、そう思った。


でも本能でそうしてしまうのか、自分でさせておきながら道明寺の手首を自然と掴んで「ゴホッ!」と噎び声まで上げてしまった!私の声にハッとした道明寺が我に返って私の首を掴んでる指の力を緩めた。

そしてびっくりしたような顔で私をその場で突き放した!ドサッと音をたてて彼の足元に倒れ込んで、自分の口を押さえて咳き込んでしまった。

「ゴホッ・・!ケホッ・・・ケホッ!うっ・・・!」


ほんの少しだけ・・・怖かった。このままだと本当に自分は消えるのかと・・・そう思った。


「はぁっ・・・はぁっ!な、何させやがるっ!てめぇ・・!」
「・・・ごめん、ゴホッ、道明寺、ごめん・・・でも・・・こうでもしなきゃ2人が・・・私のせいで!」


道明寺が・・・あの道明寺が自分のした事に驚いてる。この人にこんな表情をさせたのは私・・・それなのに自分の方が泣き崩れてしまうなんて。
床に伏せたまま起き上がることが出来ない私を道明寺の手が後ろから抱え込んだ。

そのまま抱きかかえられてすぐ側のソファーに座らせてくれて、その向かい側に彼も腰を下ろした。
自分の頭を抱え込んで、その手が私と同じく少し震えてる。道明寺をこんな風にさせてまで私は何をしたかったんだろう。


少し痛む首を摩りながら・・・私も気持ちを落ち着かせるまで何も言えなかった。

どのくらい時間が過ぎたんだろう。
先に言葉を出したのは道明寺・・・小さくて、まるで独り言のような声。この人がこんな喋り方をするのも初めてだった。


「・・・何処が違ったんだ?俺と類の・・・何処が」
「・・・え?」

「確かにお前と俺は1度は同じ気持ちで向き合ってたという自信がある。俺は何も欲しくはなかった・・・牧野、お前がいれば他には何もいらないって思ってた。何年もかけてお前の事をババァに認めさせて俺のものになったと思った。
類はどうなんだ?あいつはお前のために何をした?ただ傍にいて話を聞いただけ・・・俺から奪おうともしなかった。本気でお前の事が好きなら俺に向かって来ればいい・・・それなのに類は何もしなかった。そうだよな・・・」

「それが花沢類の愛情だから・・・じゃないの?」


頭を支えている手の下から道明寺の目が光った。


「花沢類は押しつけなかっただけだよ。見守ってくれた・・・私の気持ちを優先してくれたんだよ。そういう人だから・・・」

「自分のものにならなくてもいいっていうことか?・・・どれだけ惚れててもか!」
「自分の幸せより私の幸せを考えてくれたんだよ。それに気が付きながらあんたと彼の間で迷った私が一番悪いんだよ・・・」


「俺は押しつけるだけだったのか?」

「私は道明寺の隣ではだんだん息苦しくなっていったの。それを解放させてくれたのが花沢類だったの。でも、あんたの必死な姿を見てたからもう何も言えなくなって・・・ごめん。自分が我慢すればいいんだって思ってた」


「我慢・・・か」


最後の一言を言った後、彼は何故かクスッと笑った・・・。


**********


Mホテル・・・自宅にいないなら司はここにいるはずだ。
車を駐車場に入れてフロントの方に足を向けた途端に左右から大柄な男に囲まれた。道明寺のSP達だ。


「いきなりだね。ってことは司はここに居るワケだ・・・案内してもらえるの?」

「花沢様、申し訳ありませんがこのままお引き取りを。司様からのご命令ですので」

「俺は司に命令されるような立場の人間じゃないけど?司の方が俺の彼女を拉致ったんだ・・・だから返して欲しいんだよね。部屋に入れないんなら俺が来たことを伝えて、さっさと彼女を解放してって言ってくれる?」

「・・・そのような事は出来ませんね。どちらにしてもオーナールームには入れませんのでお帰り下さい」

よく見たらフロントの後ろの方にも一般客のウロウロしてるロビーの柱の陰にも・・・大勢のSPが俺の方を見てる。どうやってもこの上には行かせないって事だろうけど、こっちもここで大人しく帰るわけにはいかない。

向きを変えてロビーのソファーに座ると、この鬱陶しい連中も俺を取り囲んだ。


「牧野を解放するまでここで待ってるからそう伝えて。今日はあまり待てないかもしれないから、時間かけすぎると力尽くでも上がっていくから」
「お一人で何が出来ますか?」

「・・・あまり俺を甘く見るな。今、凄く気分が悪い・・・あんた達の身体の心配はしないよ」


1人の男が急いでフロントの奥に消えていった。


********


「我慢してついて来たって事か・・・アメリカに」

「ごめん・・・その時の自分の事はよくわからないの。アメリカに行って一人になって・・・ずっと考えたらそういう結論が出たって感じかな。自分の事なのに自分が一番わかんなくって・・・花沢類に言われたの。我慢じゃなくて自然に・・・正直になれって・・・」

「正直になったらあいつの方を選んだってわけだ。俺は馬鹿みてぇに他国で仕事してただけってことか!・・・よくわかった」


道明寺はスッと立ち上がると私に背中を向けてまた窓の方に向かった。
さっきと同じ場所で、さっきと同じポーズで、でも表情は少しだけ変わっていた。

悲しいと言うより寂しそうな・・・道明寺には全然似合わない泣きそうな顔をしていた。



「自由にしてやる。婚約解消・・・ってやつか。俺の方から解消してやる」

「・・・え?」

「道明寺司が貧乏人の女から婚約解消されただなんて世間に言えるわけがねぇだろうが!解消するなら俺の方からだ。俺が捨てた女でよかったら花沢が拾えばいい・・・そういう事だ!」

今まで私に横顔を見せていたのに、この言葉と同時に完全に背中を向けられた。
この時の表情を見せたくなかったのかもしれない。

最後までプライドは崩せなかったのかもしれない・・・私の大好きだった彼は確かに誰にも弱い部分を見せない人・・・だったね。



「・・・ごめ、ん・・・ごめんね、道明寺」

「最後にもう一度言っておくが、俺だってお前の所に戻りたくて仕方なかった・・・それだけは勘違いすんな。いいな!」


もう道明寺は私の方を全然見てくれなかった。
最後に交わした言葉は、お互いに背中合わせ・・・多分、私と同じように道明寺の目にも涙があったんだと思う。


「さようなら、道明寺」


あいつからの返事は・・・なかった。



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2018/02/15 (Thu) 07:57 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/15 (Thu) 09:16 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/15 (Thu) 10:29 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、こんにちは。

・・・そうですね。類君とぶつかると怖いから(笑)
殴り合いになるからやめておきます。どっちにしようかと思ったんですが、今までぶつかってきてますからね。
たまには殴り合いをしなくてもいいかと・・・。

あら、そこ気が付きました?
今回はそっちをとったんですけど・・・類君の怒りは何処に向かうやら?

どんどん切なくなってきた・・・困ったわ(笑)

違う専務呼ぼうかしら。


私もそのニュースがあるから今回はあんまりテレビ見ないんですよ。
気になりますよね・・・。
でも、昨日の小平さんは見ました!惜しかったけど良かったわ~!

で、彼って・・・彼?
私は多分見ることは出来ません。心臓に悪いもん(笑)
自分が出るわけでも親戚でもないのに!転んだら自分もその場に倒れません?

はぁ・・・でも頑張って欲しいわ!

2018/02/15 (Thu) 13:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

凪さん・・・こんにちは!

嬉しいわ、そのコメント。もうそのぐらいの感覚で読んでいただけたら最高です。
そうそう、終っちゃうからね!それにとんでもない批判殺到!

「短い間でしたがお世話になりましたー」って記事書かなきゃ!(笑)

凪さん、まだ結晶の写真撮れないの?

私・・・待ってるよ?まだまだ欲しいよ?(予定大幅に狂いそうで・・・💦)

2018/02/15 (Thu) 13:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは!

おぉっ!オリンピック楽しんでいらっしゃるんですね?
私はスピードスケート見てました。夜はパソコンから離れられないので見ないようにしていたんですが気になって。
案の定、手が止まってて競技が終った後、また読み直しから始まって相当困りましたけど(笑)

東京オリンピック・・・見に行ってみたいなぁ(笑)
人混みが苦手だけど。

そんなに心配しなくても素敵な人を連れて帰るんじゃないですか?
うちの子はどうなんだろう。彼氏、出来るのかしら・・・。

ダンサーって結構密着して踊るでしょ?だから気にならないかって思ってるんだけど。
本人に聞いたら気にならないそうです。

今度黒鳥踊るんですけど、むっちゃ顔が近いんですよ?親はハラハラです・・・。

お話しのことに触れなくてごめんなさい(笑)
司君・・・ごめん!としか言えなくて。

2018/02/15 (Thu) 14:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/20 (Tue) 11:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は。

あら、そうですか?
私、もしかして異端児?違う意味の(どういう意味だ)初めてが多い?
インコが主人公になったり味噌味だったり・・・?

これ、ホントにしてたら多分とんでもないクレームが来るだろうなって思って最初書くの迷ったんですよね。
クレームは苦手なんで(よく来るから、笑)。

今でもよかったのかどうか・・・公開した後だから悩むな!って感じですけど。
司君が好きな人には申し訳ないなぁって思ってます・・・ごめんね。

若いときには思い詰めるときもございますので許して下さい。
つくしに代わって謝っておきます。

2018/02/20 (Tue) 19:11 | EDIT | REPLY |   

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