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牧野はその後の検査で外傷の処置は通院で可能と言うことで退院することになった。

家元と家元夫人には今回のことは説明済みだったので西門へ連れて帰る。
牧野はまだ頭に包帯を巻いてはいたが、それ以外は大丈夫だったし、食事が摂れているので顔色も悪くはなかった。


自宅に戻るとまず親父とお袋に挨拶をしに向かう。

「おじ様、おば様・・・この度はご迷惑とご心配をおかけして申し訳ございませんでした。
体調も悪くはないので少しずつお手伝いをさせていただけたらと思います」

リビングで頭を下げた。

「もういいの?牧野さん。本当にびっくりしたんですよ?しばらくはゆっくりなさいね?総二郎さんも忙しい時期だけど、
しばらくはいますからね」

「はい。ありがとうございます。総二郎さんも忙しい中ずっと病院にいてくれて・・・助かりました」

牧野が総二郎と名前で呼んだことに、二人とも苦笑いだ。
そうだろうな。いまだにこの俺が困惑してんだから。


「これからしばらくの間、私の隣の・・・例の部屋を使わせていただきます。よろしいでしょうか?」

「もちろんよ。そのつもりでしたから、好きにお使いなさい。でも、総二郎さん・・・わかってますわね?」

そんなことを今ここで釘刺すこともないだろう!!
わかってるって!いくら俺でも弟子がウロウロしてるような場所でヤんないって!
自分の親からそんな注意をされる息子の気持ちってのも考えろよっ!

「・・・わかってますよ、言われなくても」

当然こんな返事になるだろう!せっかく良い息子に戻ってやろうかと思ったのに!

牧野は何のこと?ってな顔してるし、親父はニヤついてるがまぁ・・いい。



挨拶を済ませてからお袋の準備してくれた部屋に向かう。
あの離れにはもう戻ることは出来ない。

牧野はすぐに可愛らしい「自分の部屋」に夢中になっていた。

「総二郎、今までいた部屋にはもう行かないの?いいのかな、ここを使って・・・
私は前のお部屋でも良かったのに、他のお弟子さん達に変に思われないかな」

「お袋がそうしろって言うんだからいいんだよ。あの人達がちゃんとみんなに説明してくれるから
お前が心配することはないさ。何か言われたらすぐ俺に教えてくれ。俺からも話すから」

この家の者はもう俺がお前と暮らしてることなんて知ってるんだから何も言わないさ。
これを出入りする後援の人間が見たらどう思うかは別だけどな。

でも、俺の隣の部屋に住むって事はどういう意味なのか・・・牧野はわかってくれてんのかな。
なぜ、家元達があんなに好意的なのかはわかんないけど、俺の家族はお前を認めたって事だ。

これからの相手は「西門」だ。
厄介だけど、俺の決心ってのも変わることはない。絶対にここも突破してやる。


「総二郎?どうかしたの?ちょっと怖い顔になってるよ?」

「何でもないよ。まだ、この部屋には足りないもんが多いなって思ってさ。ほら、服も揃えないとな。
頭の傷が良くなったら、約束通り買い物に行こうぜ」

まだ少ないタンスの中の洋服を見て言うと、嬉しそうにうなずいた。

****

牧野は部屋を片付けながら俺の部屋を覗いてきた。
隅に作られた、湯を沸かせるくらいのミニキッチンを見て嬉しそうに言ってくる。

「総二郎のとこのキッチン、使ってもいいの?」

「いいけど、そんなんじゃ料理は出来ねーだろ?俺もほとんど使ってないけど」

「そういえばそうだよね」

俺の部屋を見渡して笑い出した。そういえば初めてか・・・この部屋を見るのは。

「総二郎のお部屋って随分広いのね。でもさ、なんでこんなに暗いの?落ち着くのかな。
ベッド以外みんなダークブラウンで統一してんのね?なんだか、変だね!外ではあんなにチャラチャラしてるのに」

突然昔のように笑うから、調子が狂うんだけど。
俺もわざとふざけてみた。

「夜になってさ・・・すっごく暗い部屋に真っ白なベッドって良くね?そこだけ光ってるように見えるんだぜ?
なんなら今晩ここで寝てみる?」

「バッカじゃないの?!ホント、エロだよねっ!」

顔を真っ赤にさせて部屋のドアを閉められた。そんな態度は昔の牧野のままだ。
でも本気だったんだって・・・さっきの言葉。冗談っぽく言うしかないだろう?
ずっと、待ってんだよ・・・お前のこと。

無意識のお前じゃなくて、ちゃんと俺を見てくれるお前を待ってんだって・・・


****


総二郎が西門の家に帰ろうって言ってくれた。

確かにずっと西門の家に居たのは覚えてる。この上にある小さな部屋で総二郎と暮らしてたから。
いつも側にいてくれて抱き締めてくれて、そこに安心する自分がいる。
なのに・・・なにか一つ欠けたものがあるような気がするんだけど。
それが何かはわからない。

大学も休学してるって総二郎が言ってたけど何でなんだろう・・・
早く元気になって学校にも戻らなきゃ。

怪我のせいでわかんないこともあるんだけど、総二郎がついててくれるからきっと大丈夫。
私には総二郎がいたらほかには何もいらない。


何も・・・?

うん・・・総二郎がいたらいい。

でも、ほら・・・また。誰かの声が聞こえる。総二郎の声じゃない・・・
誰かが呼んでる気がする。

誰かがあの上の方で私を呼んでる。そんな気がする・・・


あれは・・・・・・だれ?

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Comments 2

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2017/03/22 (Wed) 14:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

S様、再びこんにちは🎵

どうしても、総二郎と呼びたいんです。私が❤

じれったいのが続くんですよ。
類君も簡単には…ま、そんな感じ?

イライラしながら待っててくださいね。

せつなかったり、いらっとしたり、ラブラブしたり。

書いてる私も泣きたくなります。笑!

明日もぜひ、覗いてくださいませ。
いつも、ありがとうございます。

2017/03/22 (Wed) 15:09 | EDIT | REPLY |   

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