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<side祥一郎>
「お家元、少しお話しがあるのですが宜しいでしょうか」

総二郎がここを出て行ってから半月、俺は家元にある相談をするために千春を伴って家元の書斎を訪れた。
総二郎の件も孝三郎の件も終って一段落した最近は家元夫妻も安心したのか落ち着いていて、今ならこの話をしても聞いてもらえそうだと思ったからだ。

「何だ、改まって・・・もう騒動は懲り懲りだ。そのような話ではあるまいな?」
「はい。そうではありませんがこの家の今後についてですのでお話を聞いていただこうかと」

俺が総二郎にも匂わせていたもう一つの提案、これを家元夫妻に投げかけた。その反応は・・・予想通り反対はしなかった。
しなかったが不可能ではないか、という顔だった。


「そのような事を総二郎さんが許すかしら?私には想像が出来ないけど・・・」
「うむ・・・確かにそれでは・・・千春さんはどうなのだね?」

「私は少し前から聞いておりましたので納得しておりますわ。祥一郎さんにお任せ致します。私の事よりも総二郎さん達お二人の気持ちが大事かと思っております」

2人とも顔を見合わせて戸惑っている。まぁ、それも仕方がないだろうな。

「それでは大変申し訳ないのですが千春と共に総二郎の所に行ってきたいのですが宜しいでしょうか。一泊だけさせていただけたら話し合いも出来るかと・・・」

「わかった。好きにしなさい。だが、これ以上兄弟で揉めてくれるなよ?」
「大丈夫ですよ、それはご心配いりません。私も無理は言わないつもりです」


その後総二郎に電話を入れて、2人で北海道に向かうと告げた。


*********


祥兄がここに来ると突然電話してきたのは昨日・・・声に何の変わりもなかったが、この時少し前に言っていた言葉を思い出した。
まだあの会見以外に考えていることがあると。そしてそれはまだ話せないのだと言っていた。

何となくだけどそれを話しに来るような気がする。そして、それは俺が思ってもいないことのような気がする。


「総二郎、どうかしたの?祥兄ちゃん、そろそろかな?」
「あ?いや・・・まだだろう。夕方遅くにはならないって言ってたけど。ここの場所は知ってるから待ってようぜ。あれ、蒼は?」

「うん、よく寝てる。ねぇ、祥兄ちゃん、何か用があってくるの?千春さんも一緒なんでしょ?」
「そうらしいな。でも何も聞いてないんだ。つくしの顔でも見たくなったんじゃねぇの?千春も久しぶりだし」


「・・・呼び捨てするんだ。千春さんのこと」

「・・・は?」

つくしは俺が「千春」って言ったことが気に入らなかったらしい。珍しくほっぺたなんて膨らまして拗ねた顔を見せた。
くくっ・・・!何だ、その顔。今までそんな顔見せたことないくせに!余りにも可愛いらしくて思いっきり後ろから抱き締めた!

「うわぁっ!何すんのよ、総二郎ったら!」
「何だよ、ヤキモチ焼いてんのか?そんなに嫌だった?お前、思いっきり嫌そうな顔したけど逆に煽ってるって!」

「そっ、そんなことないわよ!千春さんはお義姉さんになるのよ?よ、呼び捨てしちゃダメでしょうっ!」
「嘘つけ!自分以外の女を呼び捨てにしたから拗ねてんだろ?可愛いなぁ!お前」

そう言ったら元気のいい右腕で肘打ちされた!


そうか・・・千春は義姉さんになるのか。
祥兄達の結婚のことも聞かなきゃな・・・参列なんて出来ないだろうけど祝いたいし。

ただ、今日話に来る内容はそんなにいいものじゃないような気がするのは何故だろう・・・。

**

そのうち1台の車が門前に着いた気配がしたと思ったら玄関のインターホンが鳴り、つくしと2人で出迎えたら祥兄と千春がそこに立っていた。
珍しくラフなセーター姿、千春は相変わらずのお嬢様スタイルで、手には今日もまた沢山の土産物を持って。

「祥兄ちゃん、久しぶり!お茶会の成功おめでとう・・・って言っていいのかな。とにかくお疲れ様でした!」
「つくし、元気だったか?あれ、すこし痩せたんじゃないか?さては総二郎が役に立たないんだろ?子供がもう1人増えたって感じじゃないのか?」

「何言ってんだ!毎日家の事してるっての!そろそろ仕事の方しなきゃって思ってるところだよ」


俺達が大声で挨拶しているのを少し後ろから恥ずかしそうにしている千春。
モジモジして部屋に入ろうとしないから気になって見ていたら、つくしの方が話しかけた。

「わぁっ!千春さんも久しぶりです!もう1年以上会ってないことになるんですよね、お元気でしたか?」
「えっ?えぇ、私は元気ですわ。あの、それよりも私・・・今頃言うのも変ですけどここまでついてきてよかったのかしら。つくしさん、ご気分悪くされませんか?」

「・・・は?私が?」

思わず噴き出してしまった!そうか、俺の婚約者になりきってつくしに冷たくした事を今頃後悔してんだ!つくしはすっかり忘れてんのにな!

「千春、つくしにそんな気遣い無駄だって!お人好しで鈍感だからもう忘れてるよ。さ、入って!」
「・・・ん?どういうこと?」

クスクス笑う千春と変な顔したつくしが並んで部屋に入った。

祥兄はすぐに蒼の所に行って抱き上げたり、手足の動きを見たりしてる。自分が取り上げたからなのか初めての甥っ子だからなのか「大きくなったなぁ!あれだけ小さかったのに!」って、その成長をぶりを喜んでいた。

「まだお座りは出来ないのよ。でもやろうとするから目が離せないの。好奇心旺盛みたいよ?暴れん坊になるのかしら?」
「つくしに似てんじゃねぇの?昔からよく叱られてたじゃん、本邸で悪戯ばっかして!」

「総二郎と一緒に叱られてじゃないか!蒼は伯父さんに似たらいいんじゃないかな・・・なぁ、蒼」

赤ん坊がいるってのはこんなにも家が明るくなるものかな。
しばらくの間俺達大人の真ん中には蒼がいて、賑やかな話が続いた。


**


夕飯はつくしが朝から色々と作ったものが並べられ、祥兄と俺は少しだけ酒を飲んで、千春はつくしに料理の作り方なんてのを聞いたりしていた。

「私、全然作ったことがないんですの。でも少しずつ作ったみたいわ・・・旦那様には自分の手料理、出したいですものね」

「でも、西門では次期家元夫人の千春さんが厨房に出入りすることを認めないんじゃないですか?家元夫人が何かを作っている所なんて子供の時から見たことはないですけど・・・」

「そうですわね。でも、これからはそういう所も祥一郎さんが変えていったらどうかって・・・そう言ってくれてるんです」

少し顔を赤らめながら祥兄を見ている。それがこの2人が順調に周りから認められていることを教えてくれた。
だから、ついその話を聞いてしまった。

「なぁ、2人はいつ結婚するんだ?もう決まってんの?」
「時期か・・・そうだな。和泉家には話に行ったけど、来年年明けに結納をしてその年の春か秋か・・・季候のいいときは西門が忙しいから思い切って真夏とか?まだ、決まってないんだ」

「そうか、でもすぐ子供のこと言われるんじゃないのか?親父達に蒼を見せてないからさ、ちゃんと孫の顔見せろって催促されたりしてな!」


それを言ったとき、祥兄と千春が目を合わせた。


何だ?どうしたんだ・・・俺、何か悪いこと言ったか?



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2018/02/20 (Tue) 11:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

千春ねぇ(笑)
初めはすっごい嫌われたから最後の方でこうなる予定だったのを知ってるだけに不憫でした(笑)
コメントで「邪魔!」とか言われたし。

心のなかで「ごめんよ、千春。最後はいい感じで終るからね!」って言ったけど結構時間がかかったから千春も許してくれないかも。祥一郎ファンの方からはくっつけないで!ってコメントもありましたよ(笑)

嫌われ者も必要なのよ・・・お話しにはね。許せ、千春!

2018/02/20 (Tue) 19:54 | EDIT | REPLY |   

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