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plumeria

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<side花沢夫人>
12日の朝、まさかこの家の玄関でここまで往生際の悪い息子を見ることになるなんて思いもしなかったわ。
まるで5年ぐらい会えないかのような悲しい別れ方をする?たった5日間なのよ?

しかも私の計画が順調にいけば2日間だけ・・・まぁ、2人ともそれは知らないから仕方ないけど。執事と並んでつくしちゃんから離れない類を腕組みしたまま睨んでしまったわ!

「類!いい加減にしなさい?レオが待ってるわ。早く出掛けなさい!ニースに着くのが遅くなるでしょ?・・・類ったら!」


私の言葉なんて全然聞いてない。
つくしちゃんに何回キスしたら気がすむの?私はともかく執事なんて何処見ていいか困ってるじゃないの!

「それじゃあ行ってくるね。今日仕事が終ったら絶対に電話するから。でも、何かあったら仕事中でも電話していいからね?」
「うん・・・気をつけてね。16日、早く帰ってきてね!」

「ん、終ったらすぐに戻るから・・・母さんに色々言われるかもしれないけど無視していいからね」

「・・・いい加減にしなさい。怒るわよ?」

この度同行するレオに引っ張られるようにして車に乗り込んだけど、こんなのでニースでの会議に集中できるのかしら?
行く行くはこの花沢物産の代表になるってのに何考えてるんだか・・・!
車に乗り込んでもまだ窓から顔出してる!そんなみっともないこと教えてないわよ?!

「じゃ、牧野。5日間頑張ってね!」
「え?う、うん、頑張るわ!類はお仕事頑張ってね。夜はお話ししようね!」

「レオ!この2人は放っといていいから早く車を出しなさい!!急いでっ!!」

私の一言で車はうちの前からやっと発進した。
まだ後ろに向かって手を振ってる類のシルエット・・・見なかったことにしましょう。


「奥様・・・ご苦労様でございますね」
「あぁ、ごめんなさいね、ホントに・・・ねぇ、三浦。類にあんな一面あったかしら・・・あの子、大丈夫なのかしらねぇ?」

「ははは・・・類様は夢中になったらとことんの方ですから。余程牧野様のことがお好きなのでしょうな。いっそのこと同行させて差し上げたらお仕事が捗ったかもしれませんな。それにしても・・・5日間でしたよね?」
「・・・えぇ、そうね。たった5日間なのよ」

ほらご覧なさい!執事の三浦でさえ呆れてるじゃないの!
どっちかって言うとつくしちゃんの方が落ち着いてるじゃない。結婚したらどっちが強いか・・・何となくわかる気がするわ。


類を見送ったあと、つくしちゃんも出勤して家には私1人になった。

「さてと・・・じゃ、さっさと準備しましょうか!」


類の部屋に入ってデスクの引き出しを開けたら、例の小箱がそのまま置いてあった。

「今だけだからね?協力するのは。これからはしっかりしてちょうだいよ?じゃないと認めないんだからね!」

この小箱に向かって言うのも変だけど。
私はこれを自分の部屋に持ち帰った。愛する息子の願いを叶えてあげるために・・・。


********


「牧野さん、どうかしたの?元気ないわね・・・具合でも悪いの?」
「あっ・・・いいえ、何でもないです」

「あぁ、専務が出張に行ったから?それでなんでしょ?・・・いいわねぇ!ラブラブで!」
「えっ!そ、そんなことはないんですけど・・・5日間も離れるのは初めてなので・・・すこし寂しくて」

仕事中に少しぼーっとしてしまって渡辺主任にからかわれた・・・でも主任の言うとおり。間違いなく類がいなくなったせいでやる気がなくなってしまって、何だか目の前の成分分析表の数字が全然頭に入らない。
もうすぐお昼だけど、いつもは類のお部屋で一緒に食べていたから今日は1人。食堂にも行く気にならなくてデスクでお弁当を広げることにした。

花沢に住んでからも出来るだけ類に私の手料理を食べてもらいたくて、厨房の隅っこを使わせてもらっていた。だから2人分のお弁当も可能な日はちゃんと作っていた。それも・・・今日は1人分。

「はぁ・・・なんだかシェルブール行き、やめれば良かったかなぁ・・・でも、やめてもついて行くことはやっぱり出来ないよね?ケジメってものがあるもんね。特に類はこの会社の跡取りだし・・・」

ぱくんと口に入れた卵焼き・・・いつもなら類と取り合いになるのになぁ・・・。


仕方ない・・・類が戻ってきた時にはとびっきり美味しいショコラロールケーキ、フレッシュ苺入り!作らなきゃね。
とにかく甘すぎなくて、でも美味しくて・・・類に喜んでもらわなきゃ!
エディブルフラワーの赤い薔薇を買いに行こう。それにケーキの上にはチョコペンでメッセージも書いて・・・ついでだから苺ジャムも自分で作ったものにしようかな?

私は1人、研究室に残ってレシピと必要なものを書き出して、16日に渡すバレンタインのケーキの事を考えていた。


*********


「専務、少しは元気になりましたか?ニースはパリよりも随分と温かいですね。海も綺麗ですし、少しは気分が晴れませんか?」
「別に・・・気分が悪いわけじゃないし」

同行したレオがそんな事を言うけど、いくら景色が綺麗だって1人で見ても面白くも楽しくもないって。
もうこうなったらさっさとこの会議が終ってパリに戻る日のことだけを考えてないと、こんな青い海見てても余計に暗くなる。自慢じゃないけどそのぐらい落ち込んでるんだから。

なんで12月にサインなんかしたんだろ。
両親の嫌がらせとしか思えないんだけど・・・。


「それにしてもすごい人ですねぇ・・・牧野さんは」
「・・・え?どうして?」

「だって、専務をここまで魅了する人ですよ?去年の夏まで専務には余り笑顔もなく、どちらかというと話しかけにくいイメージでしたからね。女性はともかく、私たちはどうしようかと毎日ドキドキしましたよ?ご機嫌がいいのか悪いのかさえ表情からはわかりませんでした。それが・・・今は・・・くくっ!」

「・・・そんなだっけ?覚えてないけど」

牧野と出会うまでの俺のこと?まぁ、そうかもね。
仕事に興味もなくて夢もなくて・・・やる気なんてほとんどなかったし。
暇ができるとあの公園に行って昼寝してたし。そう言えばあの公園には全然行かなくなったな・・・。


「素晴らしい女性なんでしょうね。見た感じでは幼くて可愛らしい方ですよね。守ってあげたいって思うんですか?」

「いや、自分の中に大きな夢を持ってる人で、守られるっていうより自分で切り開いていく感じの女性だよ。俺よりは逞しいかも・・・もちろん守っていきたいんだけど」


今頃1人でお昼ご飯かな?
きっと美味しくないって思いながら食べてるんだろうね。


すぐに帰るよ・・・帰ったら、ケーキの前に牧野に渡さなきゃ・・・ね。



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2018/02/12 (Mon) 12:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

あっはは!ですよね~!
もうお母様が説明してくれてるのであえて触れませんが・・・5日でしょ?(笑)
うちなんか旦那に出張がないから毎日帰って来るのよ?
5日間でも出掛けてくれたら超HAPPYだけど!

それでも車の窓開けてお別れを惜しむことはない!玄関でバイバイ!って感じで終り。

確かに・・・雪の司とは真逆ですわね!(笑)
1年間会わせなかったら、この類君死んでるかも・・・。(死んじゃいかん!)

2018/02/12 (Mon) 20:18 | EDIT | REPLY |   

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